【#司法記者の傍聴メモ】「人を傷つけるだけの人生なんてイヤでした」 闇バイト繰り返した“ルフィ事件”実行役リーダーが法廷で語った後悔
■「人の役に立ちたかった」 中学時代は介護施設でボランティアも
自らの犯行について、はっきりと早口で語り続けた永田被告。しかし、中学時代のことについて質問が及ぶと、様子が一変した。 *弁護士「中学の頃ボランティアをしていましたか」 *永田被告「はい。介護です」 *弁護士「なぜ介護を選んだのですか」 永田被告は目頭に手をあて、涙をこらえるように上を見上げた。そして、大きく深呼吸したあと、声を詰まらせながら続けた。 *永田被告「人の役に立ちたいと思ったからです…」 介護施設で高齢者の話し相手をするボランティアをしたという永田被告。真面目に取り組んでいた時のことを振り返ると、法廷で涙を流した。 永田被告は「将来介護の仕事をしたい」と考えるようになり、高校は介護福祉科に進学。しかし、結局中退してしまった。
■逮捕後に心境の変化…「極刑でないと償えない」
「闇バイト」に応募してから約3か月の間に、6つもの事件を起こした永田被告。逮捕直後は報道陣のカメラの前で中指を立てたり、取り調べで悪態をついたりしたという。 *永田被告「ずっと強盗は懲役5年だと思っていたが、逮捕される時に強盗殺人(逮捕時の罪名)は無期懲役か死刑だと知った。長く刑務所にぶちこまれるなら、死んだ方がましだと思った」 死刑になるためのふるまいだったと説明した。しかし、取り調べを担当した捜査員から「許されないことをしたが人は変われる」と優しい言葉をかけてもらったり、拘置所で被害者遺族に関する本などを読んだりして、考え方が変わったと話した。 *弁護士「被害者やその家族に言いたいことはありますか」 *永田被告「いっぱいあります。正直言葉にならない…本当にごめんなさいとしか言えません」 涙ながらに謝罪の言葉を述べた。 *裁判員「どの時点が一番後悔していますか」 *永田被告「僕は中学1年になって初めて犯罪をした。いまの知識で中学1年からやり直せれば、もっと社会に貢献できる」「人生において分岐点となったのは中学1年の時です。やり直せるなら中学1年からやり直したい。こんな人のことを傷つけるだけの人生なんて嫌でした…」 検察側から無期懲役を求刑された後、最終意見陳述で裁判官らにこう訴えた。 *永田被告「極刑でないと償うことができません」「責任を果たすには死刑がふさわしい」「私のことは一切考えないでください」「被害者の遺族の気持ちだけを踏まえて、極刑をくだしてください」
■「犯行は拷問ともいうべき極めて残忍なもの」東京地裁立川支部
11月7日、東京地裁立川支部は「犯行態様は拷問ともいうべき、 執拗で極めて残忍なものだ」と指摘。そのうえで「致命的な暴行を自ら行い主導し実行役の中で責任が際立って重いうえ、指示役の指示にただ従っていたわけではなく、他の実行役を指揮し果たした役割は相当大きい」として、永田被告に求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。 (裁判担当:宇野佑一)