【#司法記者の傍聴メモ】「人を傷つけるだけの人生なんてイヤでした」 闇バイト繰り返した“ルフィ事件”実行役リーダーが法廷で語った後悔
■「3、2、1と言ったらバールで殴れ」 90歳女性が20か所以上骨折し死亡
前回の事件から1週間後。再び石川県から上京してきた永田被告は、他の実行役と共に東京・狛江市の住宅近くにとめた車の中にいた。 *指示役「Kim」「落ち着いて、迅速に的確にお願いします」 永田被告はワイヤレスイヤホンで「Kim」と電話をつないだ。そして、宅配業者にふんした他の実行役がインターホンを鳴らして住宅に押し入ると、永田被告らも続いた。 しばらくすると、他の実行役が女性から現金のある場所を聞き出せず、いらだっていた「Kim」から指示がとんできた。 *指示役「Kim」「金のありかをはかない。一発喝入れてきてください」 永田被告は女性のアゴを殴り、他の実行役に「さっさと金のありかをはかせろ」と怒鳴った。「このくらいやれよ」と見せつけるために、他の実行役の目の前で女性を殴ったという。しかし、その後も現金は見つからず、女性から現金の場所を聞き出すこともできなかった。 *指示役「Kim」「(他の実行役は)甘いです。あなたがやった方がいい。あなたがやるのが一番早い」 永田被告は「さっさと金のありかをはけ」と脅しながら、女性の体をサッカーボールのように3~4回蹴った。それでも女性は答えなかった。永田被告は「肝が据わっていて根性がある」と感じたという。 “本気でやろう” 決意を固めた永田被告は、近くにいた他の実行役に「バールもってこい。やれ」と指示。その実行役は長さ約75センチ、重さ約1.2キロのバールの端を持ち、女性に振り下ろした。大きな鈍い音が室内に響き渡った。 バールで殴った実行役から「これ以上やったら死ぬ」と言われたが、永田被告は「弱気な対応をしたらリーダーとしての立場が逆転してしまいメンツがつぶれる」と考え、指示を続けた。 *永田被告「俺がストップと言うまでたたき続けろ」「カウントダウン形式で3、2、1と言ったら殴って」 女性は両手を結束バンドで縛られ、抵抗できない状態で10回ほどバールで殴られ、ろっ骨や胸骨など20か所以上を骨折した。しかし、最後まで現金の場所は話さなかった。疑問を感じた永田被告が「Kim」に女性の顔写真を送ったところ、「Kim」は「あちゃー、人違いですね」と笑いながら答えたという。襲撃する対象は別の家族だった。 永田被告ら実行役4人は、腕時計などを奪い現場から逃走。この日の夜、女性が亡くなったことを知った。当時の心境について、被告人質問でこう振り返った。 *永田被告「もう後戻りできないなと思った。何も悪くないカタギの一般人を殺すのは人間じゃないしクズで、終わったなと思った。人生というより、自分自身が終わったなと」 「犯罪のことしか考えていなかったので、被害者の女性に思いをはせることはなかった」 そして、翌日も犯行を続けた永田被告。しかし、犯行の途中で職務質問されたことをきっかけに、永田被告は逮捕された。