気候変動対策は「長期戦」 変化は可能 新たな時代を築いていく希望
■「朝日地球会議2024」セッションから 「対話でさぐる 共生の未来」をメインテーマに10月下旬に開かれた「朝日地球会議2024」では、「沸騰化する地球 危機を乗り越える私たちの責任と希望」と題したセッションが開かれた。主な内容は以下の通り。 日本で2年続けて観測史上最も暑い夏になるなど、気候変動の影響は現実になっている。気象予報士・キャスターの井田寛子さん、国際協力機構(JICA)専任参事の三村悟さん、シンクタンク「クライメート・インテグレート」代表理事の平田仁子さんが、気候危機を乗り越える責任と希望について語り合った。 井田さんは今年の夏の暑さは温暖化がなければ「発生しえなかった」との研究をあげ、気象予報士が気象災害と温暖化を関連づけて伝える取り組みを話した。 南太平洋ソロモン諸島の環境活動家グラディス・バートレットさんは、ビデオメッセージで、祖父が住んでいた島が海面上昇で沈んだことを紹介。南太平洋サモアで環境協力をしていた三村さんは「住まいを追われた人たちが心の問題を抱えている」と述べた。 平田さんは、日本が電力の3割を温室効果ガスの排出が多い石炭火力に頼っている一方、英国は9月に石炭火力を全廃したことを紹介。「日本はなんとなく『やっている感』にとどまっている」と指摘し、エネルギーをたくさん使う社会構造を変えるべきだと訴えた。 悲観的にならずに温暖化対策を進めるにはどうしたらよいのか。井田さんは「私たちが新たな時代を築いていくというポジティブな精神が必要だ」、平田さんは「できないと思っても、やってみたらできたということは色々ある。変化は可能だ」、三村さんは「気候変動は100年、200年かかる闘い。結果を見ることができなくても、タイド・ターナー(潮目を変える人)にはなれる」と話した。(コーディネーター・香取啓介)
朝日新聞社