「カスハラ」山形県内の企業の16%がこの1年に被害 道の駅でも対策に乗り出す
山形放送
顧客から過剰な要求や悪質なクレームなど受ける「カスタマーハラスメント」、略して「カスハラ」。山形県内の企業や自治体でも対策を強化する動きが広がっています。1日から対策に乗り出した寒河江市の「チェリーランドさがえ」を取材しました。 陣内倫洋アナウンサー「寒河江市のチェリーランドです。こちらでは、きょうからカスハラ対策の強化が始まりました。レジの脇にも厚生労働省から出されているリーフレットが置かれています」 休日を中心に県内外から多くの客が集まる「チェリーランドさがえ」。訪れる客へカスタマーハラスメントの防止を訴えるポスターを1日から設置しました。 厚生労働省によりますと、カスタマーハラスメント、略してカスハラは、顧客や取引先からの過剰な要求や、不当で悪質なクレームなどを指し、従業員の労働環境の悪化が問題となっています。東京都では来年4月から防止条例が施行される予定です。 チェリーランドでは、これまでカスハラに該当するような行為は確認されていませんが、全国各地や県内でもカスハラ対策が進んでいることを受け、対応などを定めた基本方針を策定するなど対策強化に乗り出しました。 チェリーランドさがえ原田香澄さん「人ごとではないと感じている。お客様にもたくさん来ていただいているので、こちらの対応一つでカスタマーハラスメントになることもあるので、そういう思いを従業員にはさせたくない」 チェリーランドは、カスハラに該当する可能性が高い行為として、客からの暴行や脅迫、それに中傷や土下座の要求などのほか、理不尽な商品の交換や金銭補償などの要求を挙げています。 チェリーランドさがえ原田香澄さん「真摯に接客していきたいと思っているが、過剰な要求や対応に対しては従業員を1人にしない、複数での対応をする、組織的に対応する、度が過ぎるようであれば(警察など)第三者の協力も得たいと思っている」 帝国データバンク山形支店がことし6月に行った調査では、1年以内にカスハラ被害があったと答えた県内企業は15.9%に上り、業界別では、サービス業が31・6%、小売業と運輸・倉庫業がそれぞれ25%と高くなりました。県内でも、山形銀行やスーパーのヤマザワなどが10月、カスハラの定義や対応などを定めた基本方針を策定するなど、企業や自治体で対策が進んでいます。 チェリーランドを訪れた人は、カスハラ対策が進んでいることについて、どのように感じているのでしょうか。 訪れた客「テレビとかを見ると、『そんなことを言われるの?』ということがある。従業員を守らないといけないから、いいことだと思う」「日本人はおもてなしの文化で、お客様は神様みたいなところがあるが、それとカスハラは違う。みんな気持ちよく過ごせれば一番いい、笑顔で」 チェリーランドでは、カスハラ対策の強化を客へに周知する一方で客からの要望には柔軟に対応できるよう従業員への研修も積極的に行っていく予定です。 チェリーランドさがえ原田香澄さん「従業員1人1人のパフォーマンスの向上とより働きやすい職場にしたい。それがよりお客様へのサービス向上となり、よりたくさんのお客様に来ていただきたい」 客が気持ちよく買い物を楽しめるように、そして従業員が安心して接客ができるように、カスハラへの対策が徐々に広がりを見せています。