AWS、生成AIサポート拡充でMicrosoftに迫れるか Amazonの取り組みを解剖
実際にイベントでは、旅行サイトのBooking.comからSVP兼CTO(最高テクノロジー責任者)が登壇し、同社での利用例を紹介。 例えば、Booking.comは約2,800万軒もの登録宿泊施設、54か国のフライト、5万2,000か所のレンタカー貸出所、数千のアトラクションの予約情報を保有しており、これを相互リンクさせてユーザーの旅行予約をサポートしている。 また同社では利用者のレビュー・評価を参考にする利用者が多く、人気のカギを握っている。数年間にわたって収集されたレニューを保有データに入れ込んだ複雑なデータを、生成AIによってカスタマイズし、瞬時に提案できるようになったと説明。 今後利用者は、これまでのように日程などのデータを一つ一つ入力することなく、「11月27日からラスベガスに出張。ギャンブルにあまり興味はないけれど、美味しい食べ物には興味がある。どこに宿泊すべき?」と会話のように入力するだけで、Booking.comのデータからホテルの提案がされるという仕組みを紹介。ホテルの選択肢がスワイプするだけで簡単に閲覧でき、そのままタップして予約できる、ユーザービリティも秀逸だと語った。
大規模言語モデル
大規模言語モデルの拡充にも言及している。Amazonでは、すでに企業顧客に事前トレーニングされた大規模言語モデルTitanをはじめ、サードパーティのAI21 LabsのJurassic、AnthropicのClaude、MetaのLlama 2、Stable DiffusionといったFMも提供してきている。 しかしながらここで注目が集まるのは当然のことながら、Amazonが9月に最大40憶ドル(約5900億円)まで投資すると発表したAnthropicとの提携とサービスの強化だろう。 OpenAIの元メンバーが立ち上げたスタートアップ企業Anthropicは、10月にはGoogleから最大20億ドルの追加投資を約束され、2021年の立ち上げ以来急成長を遂げている。AIが世界に与える影響は甚大であると理解し、AIの安全性と研究に特化。より安全で信頼でき、解釈可能で、操作可能なAIシステムの構築を提唱している。 イベントでは、同社の最新モデルClaude2.1の基盤モデルの提供開始が発表された。このモデルでは、業界トップクラスの20万トークンのコンテキストウィンドウ、ハルシネーション発生率を50%ダウン、オープン形式での会話での誤った回答を2倍低減、プロンプトのコストを25%削減するなど、機能性がアップしたことをアピール。 こうした分野でのモデルのラインナップ拡充にAWSは大規模な取り組みを継続していくと言及した。