九州の観光地、悩む観光公害 太宰府、屋久島…自治体の対策は
人気の観光地が多くある九州でも交通渋滞やマナー違反といったオーバーツーリズム(観光公害)が問題となり、対策が課題となっている。 太宰府天満宮のある福岡県太宰府市では観光客による交通渋滞やゴミのポイ捨てが悩みの種となり、2024年度からオーバーツーリズム対策に特化した約3100万円の予算を計上した。福岡空港で観光客らにマナーアップを呼びかけるコンシェルジュを配置することや、観光客の分散を促す電子看板の設置などを検討しているという。 1993年に日本で初めて世界自然遺産となった屋久島(鹿児島県屋久島町)では多くの登山客が集まり、登山道が踏み荒らされる被害が出ている他、トイレのし尿搬出費もかさんでいる。17年に「環境保全協力金」を導入し、日帰り客に1000円、テント泊客などには2000円の協力を求めているが、支払いは任意のため収受率は7割ほどだという。それでも年間約3000万円前後が集まるといい、し尿搬出費などに充てている。町の担当者は「今後、収受率をどう上げるかだ」と思案する。 一方、熊本県阿蘇市の内牧温泉街では周辺道路が観光客で混雑したため、24年8月に一部を「歩行者天国」とする実証実験を始めたが、一部住民から「車が通れず、不便だ」と苦情があり、同月内に中止した。市の担当者は「対策には住民の合意形成も必要で簡単ではない」と話す。【山口響、平川昌範】