能登のシェフの今をインタビュー 平田明珠さん(ヴィラ・デラ・パーチェ)
インフラや食材はどのような状況でしたか?
小学校なので家庭科室で調理をしています。食材はお店にあった在庫も使って、農家さんから野菜やお米を持ってきてもらったり、猟師の方にお肉をいただいたりして、あまり困ることはありませんでした。
ガスや電気は使えますが、水道は使えません。水道が使えないと、衛生管理もとても難しく、頭を悩ませています。飲み水はふんだんにありますが、生活用水は給水車の水などを充てており、使用した調理器具を洗うのも一苦労です。
どんな支援が助かりましたか?
食材を保存する冷凍庫に困っていた時、Instagramで呼びかけたところ、車で持ってきてくれた方がいらっしゃいました。また、猟師さんが鹿や猪の肉でパンパンにした冷凍庫をそのまま置いて行ってくれたのもとても助かりました。
お店のソムリエが所属している「北陸チャリティーレストラン」という団体からシェフが日替わりで来てくれて調理を手伝ってくれたり、食材を調達してくれたりしているのもとてもありがたいです。
今の状況はいかがですか?
避難所での炊事を始めてから2週間以上が経ち、ようやく少し落ち着いてきたのでシェフ仲間だけでなく、企業さんや他のボランティアの炊き出しの方が避難所で炊き出しを行ってくれる体制が取れて、少しずつ避難所の炊事を自分の手から離していけるようになってきました。
避難所での食事は、「命をつなぐ食事」から「健康を守る食事」に切り替えていく必要があります。
カレーや牛丼、動物性タンパク質が多い食事は高齢者にきついだけでなく、若い人も必要なビタミンやミネラルが十分に摂れません。特に避難所で生活されている方は高齢者の割合がかなり高めなので、脂質や塩分濃度にもかなり気を使う必要があります。 今避難所の食事で求められているのは、とにかく野菜。
ただ自宅で生活されている方の中にはお肉を全然食べられていない方がいるのも事実。焼き肉弁当をお配りした時にとても喜ばれることもありました。つまり、炊き出しで作るメニューと提供する場所のマッチングがとても重要だと感じています。