機関車広場の「D51」塗り直し、機関室の計器類をリアルに再現…山口県周南市の動物園改修工事進む
山口県・周南市徳山動物園の南側入り口前にある機関車広場で大規模な改修工事が進められている。約半世紀にわたり展示されている蒸気機関車「D51(デゴイチ)」の修復を始め、ベンチの設置や植樹を計画。新たな玄関広場として再整備し、来年度のオープンを目指す。(河村輝樹) 【イラスト】改修後の機関車広場の完成イメージ(周南市提供)
市が2013年度から着手している園全体の改修事業の一環。機関車は1940年に製造された「D51形395号機」で、岩徳線などを走り、引退後の71年10月、当時の国鉄から旧徳山市に無償貸与された。
計画では、機関車の塗膜やさびを取り除いて損傷した部分を補修し、運行当時の黒色に塗り直す。機関室の計器類は複製品を取り付けてリアルに再現する。一時的に機関車を移した後、地面を掘り下げて新たなレールを敷設し、プラットホーム風の擁壁を設ける。擁壁に上ると駅のホームの雰囲気を感じられ、反対側では車輪の構造を観察できる展示にするという。事業費は1億1880万円。
工事の手始めとなる機関車の移設作業は10月22日から3日間かけて実施。専門業者が本体と石炭を積む炭水車を4分割し、約50メートル離れた園内に運んだ。最初に長さ約20メートル、重さ約30トンの本体の上部が大型クレーンでつり上げられると、見物に集まった人から歓声が上がっていた。
機関車は来年1月末頃に新しく整備された元の場所に戻され、塗装や補修が続けられる。来年度は、機関車広場がかつて花見の名所だったことにちなみ、桜を植えるなどして景観を整える。
市徳山動物園リニューアル推進室の岡本知也室長補佐は「地元で活躍したデゴイチをきっかけに、子どもたちが古里に愛着を持てたり家族でくつろげたりする憩いの場にしたい」と話している。