【高校陸上】女子400m&400mH・畠山このみ(立命館慶祥高)インターハイで2冠に輝き、秋も頂点狙う
注目の高校アスリートをフォーカスして紹介するコーナー!今回は福岡インターハイの女子400mと400mハードルで2冠に輝いた畠山このみ選手(立命館慶祥高3北海道)です。今年のインターハイは連日、厳しい暑さの中で行われましたが、その暑さも何のその。いずれも自己ベストで頂点に立ちました。あらためてその激戦を振り返りつつ、次への意気込みも見せています。 畠山選手のプロフィールをチェック!
チームで勝ち取ったインターハイ2冠
――福岡インターハイは400mと400mハードルの2冠。あらためて振り返ってみてください。 畠山 北海道と環境が違ってすごく暑かったので、周りのサポートのありがたみをすごく感じました。そのサポートのお陰で勝てたと思います。シーズン前は全国大会で入賞を経験したのが私だけだったので、私がチームを引っ張らないといけないと思っていたのですが、私のほうが支えられました。私だけでなくチームで取った日本一だと感じています。 ――サポートに対する感謝の気持ちは、優勝直後にも話されていました。具体的にはどんなことでしたか。 畠山 暑い中でレースが続いたので、気持ち良く走れるように体を冷やしてもらったり、日陰を作ってもらいました。あの暑さは自分一人では乗り切れないというか、戦い切れないぐらい暑かったです。 ――本当に暑かったですよね。厳しい条件の中で400mは1日で3レース、400mハードルは2日間で3レースを走って、どちらも優勝しました。 畠山 全国大会はいつもすごく楽しめるんです。さすがに決勝は緊張しましたが、予選、準決勝は楽しく、温存しながらもしっかり走れていたので、決勝でも戦えるという自信はありました。 ――しっかりタイムを上げて、決勝は2種目とも自己新(400m54秒89、400mH58秒23)でした。 畠山 インターハイに向けて、しっかり仕上げていたのもあると思います。福岡空港に着いた時は、あまりに暑くて「え、これで走るの」と感じました。モワッとしていて湿度もすごく、不安でしたが、調整練習を始めると身体の動きがすごく良かったです。 ――体力を温存しつつ、どのようにラウンドを進めましたか。 畠山 例えば400mだったら、300mまではイメージ通りに自分の走りをして、残り100mからは周りの状況を見ながら走っていました。ただ、博多の森陸上競技場の大型ビジョンは第3コーナー、第4コーナー側にあるので、フィニッシュ付近では目視でしか状況を確認できない怖さはありました。 ――初日に行われた400mは、今年から始めた種目です。 畠山 400mが速ければ、400mハードルも速くなるんじゃないかと、春から取り組み始めました。チャレンジャーという立場で臨んだぶん、気持ちは楽で、自分の走りができたと思います。 ――400mでも優勝を意識していましたか。 畠山 上位は狙えると思っていました。でも、やっぱり本命は400mハードルだったので、次の日の400mハードルの予選につながる走りを意識していました。400mは全国大会の経験もなかったですし、同じ北海道地区にはインターハイで4位に入った菊地さん(妃華/旭川志峯3)などもいて、競るのは怖いと思っていました。決勝が9レーンで、周りを見ずにリラックスして走れたのが良かったのではないでしょうか。 ――特に後半が強い印象があります。 畠山 インターハイは、予選、準決勝の300mまでの感覚がすごく良かったので、そこが(勝因として)大きかったと思います。決勝も300mまでは思い通りで、最後のカーブに入った時に誰もいなくて、結構ビックリしました。周りの選手の持ちタイムが良かったので並ばれることを想定したんですが、1人だったので。ラストの直線は「これは勝てるかな」と思いながら走りました。 ――決勝では、初の54秒台となる54秒89をマークしました。 畠山 顧問の日裏徹也先生から「54秒台は出せる」と言われていたので、先生と約束したタイムが出せて良かったです。 ――優勝して、すぐに400mハードルに切り替えられましたか。それとも疲労感が残りましたか。 畠山 半々です。「400mハードルにしか出ていない選手とも戦わないといけない」と思いました。予選は58秒台のベスト記録を持つ田中美優さん(駒大3東京)と一緒の組で、田中さん(59秒05)に続く2着(59秒88)。自分より前で早く走っている姿を見て自信をなくしてしまいました。走りながら、「私は疲れているのもあるし、次の日の準決勝から切り替えようと」と言い聞かせていました。 ――400mと違って予選と、準決勝・決勝が2日に分かれていたことが功を奏したようですね。 畠山 そうですね。でも、準決勝は一番脚が重くて走りが悪かったんです。それで結構気持ちが沈んでいたんですが、決勝前のウォーミングアップで軽く良い走りができたので、ようやく「勝負するか」という気持ちになれました。 ――準決勝のハードル間の歩数は、3台目までは16歩、それ以降は17歩でしたが、決勝では5台目まで16歩で走っています。 畠山 以前から新しい歩数に挑戦したいと思っていましたが、U20日本選手権の決勝は土砂降りでできませんでした。新たな歩数は切り札みたいなところがあったので、条件がある程度整ったタイミングで通用するかどうか試してみたいと思っていました。当日は風が回っていたのと、400mで優勝したことが自信になっていたので、失速しても最後にまた追い上げられると思ってチャレンジしました。 ――実際に挑戦していかがでしたか。 畠山 本当にうまくハマってくれました。条件に関わらず、これからも使えると思いました。 ――歩数も短縮でき、理想にかなり近いレースができましたか。 畠山 歩数と走力は良くなってきたと思うんですが、ハードリングはまだ改善できると思いました。特に逆脚はかなり浮いてしまったので、タイムも落ちていたと思います。インターハイに向けては、どちらかというと歩数の調整に力を入れていて、ハードリングはドリルで多少修正しただけだったので、まだ改善していけばタイムも狙えると思います。 ――悲願の日本一をつかみ取り、何を得ましたか。 畠山 日本一を狙って、それが達成できて本当にうれしかったのですが、それと同時に、これからも日本一を取り続けたいという思いになりました。