会津ウインドオーケストラ 28日、初舞台 吹奏楽の文化次世代に 部活動地域移行受け結成2年 福島県会津若松市
会津地方在住・出身者で構成する吹奏楽団「会津ウインドオーケストラ」は28日、初の演奏会を福島県会津若松市の會津風雅堂で迎える。結成から間もなく2年。部活動の地域移行の受け皿として中高生を受け入れ、進学や就職で古里を離れた若者も集える「ホームグラウンド」のような楽団を目指している。代表兼指揮者の竹安和明さん(41)=葵高教諭=は「育ててくれた地域や音楽への恩返しの意味を込め、広く吹奏楽の魅力を伝えたい」と願う。 楽団は昨年1月に結成。組織の特色を考える中で地域移行に着目した。会津地方は少子化などに伴い、従来のように学校単位で吹奏楽を組むのが難しく、団体で日常的に音楽に打ち込める環境が減っていた。 喜多方高の吹奏楽部を指導していた竹安さんは「このままでは子どもの演奏機会がなくなりかねない。地域で培われてきた、吹奏楽の文化を将来に守りつながなくてはいけない」と危機感を募らせた。発起人となり、音楽教育に携わる知人や元教え子らに声をかけた。
当初は団員集めや楽器の手配に苦労したが、趣旨に賛同した高校生や社会人まで74人が在籍している。初演に向け、9月から月1度の全体練習や個人練習で音を磨いてきた。公演前日の27日は約40人が會津風雅堂に集まり、最後の全体練習に臨んだ。上越教育大2年でクラリネット担当の宮田美桜さん(20)=葵高出身=は昨春入団し、演奏と運営に携わる。「コンサートを機に認知度が広まり、一人でも多くの人に音楽の魅力に触れてもらえたらうれしい」と意気込む。 2026(令和8)年度からの活動の本格化を見据え、新年度は小中学生も団員に迎える予定だ。子どもから大人まで幅広い世代が一堂に会し、教え合い、刺激を受け合いながら音色をつくり上げる。演奏会の開催も継続する。竹安さんは「懸命に演奏する団員の姿を通し、吹奏楽の楽しさが伝わるステージにしたい」と成功を誓っている。 ■指導者や練習場所課題 部活動の地域移行を巡って、国は2025(令和7)年度までの3年間を推進期間とし、休日の指導の地域団体への移行などを進めている。ただ、文化部は専門性のある指導者や練習場所の確保、器楽の場合は大型楽器の搬出入の手間などが課題となっている。