静岡学園が興國に逆転勝ちで初戦を突破!明暗を分けたリードとビハインド
7月27日、令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)1回戦が行われ、JヴィレッジP2の第1試合では静岡学園(静岡)が興國(大阪)を2-1で下し、2回戦に駒を進めた。 【フォトギャラリー】興國vs静岡学園 2大会連続9回目の出場の静岡学園と、初出場の興國。1回戦屈指の好カードとなったこの試合。序盤から静岡学園が押し気味に試合を進め、3連続CKから惜しいシーンを作るなど、ゴールに迫った。 しかし静岡学園が押し込みながらも決め切れずにいると、先にスコアを動かしたのは興國。飲水タイム明けの20分、最終ラインからDF3的羽航人が持ち運び縦パスを送ると、これは相手DFにカットされるが、前線でFW11安田光翔が奪い返し、そのまま右足で狙い澄ましてゴールに流し込んだ。少ないチャンスをものにした興國が1点リードで試合を折り返した。 1点ビハインドで前半を終えた静岡学園はハーフタイムに3枚替え。右サイドハーフにMF16原星也、左サイドハーフにMF15池田双葉、トップ下にMF7天野太陽と、前目の中盤にフレッシュな選手たちを投入した。 この選手交代で両サイドの主導権を掴むと、飲水タイム明けの55分、右CKからゴール前にこぼれたところをDF2関戸海凪が体ごとゴールに押し込んで同点。さらに59分にはMF20堀川隼がバイタルエリアでボール奪取に成功すると、右足でミドルを右上隅に叩き込み逆転。静岡学園が一気に試合をひっくり返した。 試合終盤には興國に攻め込まれた場面もあった静岡学園だったが、そのままリードを守り抜き試合を終わらせ、初戦を突破した。 「後半からある意味振り切れた」。試合後、静岡学園の川口修監督はリードを許した状態が、自分たちの良さを引き出してくれたと振り返った。逆に興國の六車拓也監督は「1点取った事で精神的に"このまま行きたい"というのがプレーに出ていた」と先制したことで守りに入ってしまったと振り返った。 前半を1点リードで終えた興國。しかし、決して自分たちのサッカーが出来ているとは言えない内容だった。インターハイでは初の全国大会、さらに相手は全国常連の静岡学園、その目には見えない重圧が選手たちに重くのしかかった。普段であれば落ち着いて剥がしにいく場面でも、リスクを嫌うようなプレーも散見された。その中で奪った先制点。両者にとってこの1点の持つ意味が真逆に作用し、これが静岡学園の後半の逆転劇を生んだ。 「前半もそんなに悪くはなかった中でミスから失点。ただ、選手たちが後半奮起して、自分たちでやるべきこと、前から守備をやって点を取りに行く。点を取りに行くためには強い守備が必要だ。そういうところをちゃんと表現できた結果」。 この川口監督の言葉通り、攻守に攻めの姿勢を貫いた静岡学園イレブン。ゴール前で泥臭くねじ込んだ関戸の同点ゴールも、中盤で球際の強さをみせ続けた堀川の決勝ゴールも、キレイに崩しきったというよりも、戦って奪ったゴールだった。 昨年は悔しい初戦敗退を味わった静岡学園にとって、選手たちが勝ち取ったこの1勝は大きな1勝といえるだろう。 「まだ自分たちのやりたいこととか、自分たちがどうならないといけないかというところが、彼らの芯の根本のところには浸透してなかったのかなと。やっぱり勝ちたいというところに引っ張られてしまった」と試合内容を悔やんだ六車監督。 「この経験を次どう生かすかが、彼らのステップアップに繋がる」 初のインターハイは初戦敗退と悔しい結果となった興國。それでもこの経験を次に繋げることで更に成長を遂げるはずだ。 (文・写真=会田健司)