京都で急拡大!五十家とは?~魅惑の野菜メニューが続々
今までにない外食を拡大する五十棲は日々、自転車で京都市内の店を回る。 今や野菜といえば五十家グループと言われるまでになりつつある。
代々の農家を継がなかった男~絶品の野菜料理に挑んだ理由
五十家グループでは営業終了後、スタッフの時間を確保して取り組んでいることがある。 スタッフが、収穫が始まったばかりのズッキーニとチーズを合わせて揚げ始めた。旬の野菜をどうおいしく調理するか、スタッフをあげてメニュー開発を行っているのだ。 ズッキーニのチーズフリットにはさまざまな意見が出た。こうして旬の野菜が収穫されるたびに集結し、徹底的においしい食べ方を研究し続けることで、客の心を掴み続けているのだ。 スタッフの一人は「採れる野菜で『次はどうする?』と案を研ぎ澄ませていく。かなり考えています」と言う。
五十棲の原点と言えるのが、畑の近くにあり、現在も野菜の加工場として使っている、生まれ育った家だ。実家は代々続く野菜農家だった。だが五十棲は大学卒業後、農業を継がない決断をした。 「やれ『田植えだから来い』『稲刈りするから来い』『草むしりするから来い』というのが嫌で、嫌で……」(五十棲) そして外食の道へ進むのだが、居酒屋での修業時代、身近にあった京野菜が意外なほど高い価格で流通していることを知った。 「農家で育ったので、そんな野菜はごろごろ家に転がっていた。それが結構な値段で売買されているのに気づいてしまいました。野菜がこんなにみんなを喜ばせるなら、もっと魅力的なものが手元にあると気づいたのです」(五十棲)」 五十棲はそれ以来、野菜をテーマにした店はできないかと考え始めるが、先輩からは「野菜で客が来るわけない」と言われた。 「野菜を冠にした飲食店などできない、と。メインになるのは串カツ、串揚げ、焼き鳥。『そんなしょうもないこと考えるな』とよく言われました」(五十棲)
そんな五十棲が、野菜をメインにした店に確信を持つきっかけになったメニューがある。夏に最盛期を迎える「肉厚でピーマンより甘い」という京野菜の万願寺とうがらしを使ったものだ。 用意するのは糸こんにゃく、ジャコ、山椒の実。細かく切った万願寺とうがらしにそれらを加え、酒やみりん、醤油などで丁寧に炊き上げていく。味付けは「お母さんのレシピで濃い甘に」しているという。