<ボクシング>長谷川穂積 “引退タイムリミット”寸前で3年ぶりの世界挑戦
33歳になった元世界王者は、再び世界戦のリングに帰ってきた。空白の3年間を次なる力に変えて。チャンピオンのキコ・マルチネスは、34戦30勝(22KO)4敗の戦績で、これが2度目の防衛戦となるが、手数の多い典型的なファイター。壮絶な打撃戦になることは避けられないだろう。 ■勝てば、次はラスベガス進出へ 「ジョニー・ゴンザレスとの試合前に、抜け殻になっていたという、あのときの経験があるので、今度は、ベルトを取った後の次の目標を持っている。それはまだ口に出せないが、それがないと戦えない。でも今回のチャンピオンは強い。前に出てくる。おそらく僕の勝率は50パーセント。3年間で、体も大きくなり減量も難しくなっている。KOは狙わない。しかしボクサーであると共に一人の男。気持ちの勝負では勝つ」 長谷川は、17日から22日まで鹿児島・奄美諸島にある沖永良部島でキャンプを張る。その後、フィリピンボクサー2人を相手に、本格的なスパーに入る予定だ。33歳という年齢と共に最近では、足の故障が目立ち、肉体的な不安も抱えている。 「気合が入るけれど、気合を入れすぎず、ダメージや故障につながらないようにマイペースを守りながら練習をしていく。それができるのもキャリア」 ■天国か地獄か 3年ぶりの世界戦 日本ボクシング界を支えてきた男は、どこか澄んだ目をしていた。3年間、このチャンスを待ち続けた長谷川の「集大成」という言葉の裏には、負ければ引退という決意が潜んでいる。そして勝てば、ラスベガス進出という次なる夢がある。 長谷川の試合の後のメーンイベントで、V6戦を行う山中も、スーパーバンタム級へ転級しての、ラスベガスでのビッグマッチを狙っている。この階級には、WBAのスーパー王者、ギレルモ・リコンドー、WBCのレオ・サンタクルスとスターボクサーが揃っている。そこに長谷川が参戦していくとなれば面白い。勝てばラスベガス、負ければ引退。天国か、地獄か。3年ぶりの世界戦は、ボクシング人生をかけた大勝負となる。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)