<ボクシング>長谷川穂積 “引退タイムリミット”寸前で3年ぶりの世界挑戦
■山中慎介の防衛戦とダブル世界戦 元2階級王者の長谷川穂積(33歳、真正)の3年ぶりの世界挑戦が2月11日、東京都内で発表された。IBF世界スーパーバンタム級王者、キコ・マルチネス(28歳、スペイン)に4月23日、大阪城ホールで挑戦するもの。この試合は、WBC世界バンタム級王者、山中慎介(31歳、帝拳)が同級3位のシュテファーヌ・ジャモエ(24歳、ベルギー)を迎え撃つ6度目の防衛戦とのダブル世界タイトルマッチとして行われる。 WBC王者、八重樫が笑わなかった理由 ■引退のタイムリミットぎりぎりだった 2011年4月に、ジョニー・ゴンザレスにTKOで敗れ、WBC世界フェザー級王座から陥落して以来、実に3年ぶりの世界戦。長谷川は「この3年は本当に長かった。自分の中で、ここまでで世界戦が実現しなければ(もう引退する)という時間を設定していた。それが今年の春だった。モチベーションを保てるギリギリのタイミングだったが、マッチメイクの難しい階級で、世界戦を決めていただき感謝している。この3年がただの3年か、意味のあった3年かを示す集大成の試合になる。どんな結果になっても、受け止められるように最高の準備をしたい」と、並々ならぬ決意を語った。 この試合に勝てば、亀田興毅に並ぶ日本人2人目の3階級制覇。「一つ目のベルトは勢いと若さ、2つ目は母のためのベルト。この3つ目は、ボクシングのいいところも悪いところも知った上で、自分が本当に強いのかを知るためのベルト」長谷川は、戦う理由を哲学的に説明した。 ■最強の挑戦者を前に戦う理由を失っていた 最愛の母を癌で亡くした後、WBC世界フェザー級のタイトルを奪ったのが4年前。そして、最強の挑戦者、ジョニー・ゴンザレスとの防衛を前に、長谷川は戦う理由を亡くした。 「最高の達成感の後に、抜け殻のようになっていた。そして東日本大震災があった。『こんな大変なときにボクシングをやっていていいのか』という疑問が沸いていた。そんな中途半端な気持ちで戦い、負けて、もうボクシングが嫌いになっていた。でも、被災地の方々と触れ合い、『もう一度世界王者になる』と約束させてもらった。ボクシングを嫌いのまま終わりたくもなかった。ぜひ、被災者の方とも3年越しの約束を果たしたい」