年金を増やすなら「繰下げ」か「新NISAで運用」か…“究極の二択”に悩む64歳会社員が出した「意外な結論」【FPの助言】
もらった年金を年利4.4%以上で運用出来たら繰下げよりお得!
次に田中さんは、通常どおり65歳から年金を受給し、そのお金を新NISAで運用する案について相談しました。 永瀬FPが提示した試算は「65歳から5年間、月13.95万円(老齢基礎年金4.95万円、老齢厚生年金9.0万円)の年金を受給して年利4.44%以上で運用しながら70歳から定額で取り崩していけば、繰下げ受給よりも有利になる」というものでした。 具体的には、平均運用利回りが4.44%の場合には70歳から90歳までの間、月19.81万円の手取りとなり、70歳まで繰下げ受給の場合の月19.80万円を上回ることになります。 運用がうまくいって平均運用利回りが4.44%を上回れば、手取り額はさらに増えていくこととなります。ただし当然ですが、運用がうまくいかずに4.44%を下回れば、手取り額は減っていくこととなります。
老齢厚生年金を繰下げるともらえる年金が減る!?加給年金とは
永瀬FPは、繰下げを検討する際には「加給年金」も考慮する必要があると告げました。加給年金とは、配偶者または子どもがいて一定の要件を満たせば、老齢厚生年金の金額が一定の期間加算されるという制度です。田中さんの妻は5歳年下なので、田中さんが65歳から老齢厚生年金の受給を始めると、妻が65歳になるまでの5年間は加給年金が支給される予定です。 永瀬FPは加給年金が5年間でいくらになるのかを計算したところ、下記の通り、5年で198万7,500円になることがわかりました。 【加給年金で受け取れる額】 (加給年金22万8,700円+特別加算16万8,800円)×5年=198万7,500円 (特別加算:配偶者の生年月日に応じて加算される金額) ところが、この加給年金には落とし穴があります。それは、老齢厚生年金の受給開始を遅くした分の「繰下げ待機期間」は、加給年金が支給されないというルールがあることです。 「繰下げを選択すると加給年金がもらえない。しかもかなりの額だ。ということは、繰下げないほうがいいのか?」 また悩みかけた田中さんでしたが、永瀬FPは「老齢基礎年金だけを繰下げ、老齢厚生年金は65歳から受給する」という、もう1つの選択肢を提案しました。こうすることで、加給年金も受け取りつつ、老齢厚生年金受給分の運用による増額も期待できるというのです。
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