BiSHは自分の青春だった――解散まで残り半年、涙ながらに語る「決断の日」、そして「これから」
6人が出会ったことも奇跡だとアユニは語る。 アユニ「(2016年に)この6人になってから、よくここまで誰もいなくならなかったなって思うし、それも運なのか運命なのか、偶然なのか必然なのかわからないんですけど。モモコさんだって楽屋から失踪したりするし、リンリンもあまりしゃべんないとか決めてた子で、よく誰も失踪しないで生きてくれたなって、うれしく思ってます」 モモコ「私は1回やめようとしてるので。それこそ売れそうな流れに、ついていけないだろうなって思ったんですよね」 リンリン「学校に行っても『今日は3人までしかしゃべらない』とか決めてたけど、家ではすごい大爆発してたんです。大声で歌ったり、モノマネしたり。私の部屋の家具しか見たことがなかった私の姿を、唯一見せれるのがこの6人だなって思うんで、こんなに家族よりも素を出せるような人に会えたのも、私はよかったなって思ってます」
感謝しあって、支えあって、傷つけあって、笑いあって、泣きあいたい
残り半年となったBiSHでの日々。メンバーはどう過ごそうとしているのだろうか。 モモコ「2022年は、解散もBiSHの魅力の要素として、一緒に引っ提げてきたような気がするんですけど、2023年はBiSHの解散とか関係なく、もっと楽しみたいなと思います」 ハシヤスメ「BiSHって一人ひとりが作詞して、自分たちの思いを詰め込んだ楽曲をいっぱい残してきたので、よさをいっぱい伝えられるラストイヤーにしたいなって思います」 アユニ「ほんと6人それぞれバラバラで、言ってること、思ってることも違くて。理解しあえない部分も、こんな6人だからこそあるし。だけど、ここまで一緒にやってこれたから、今までどおり感謝しあって、支えあって、たまに傷つけあって、笑いあって、泣きあってやっていきたいです」
取材が終わりに近づくと、自分の人生においてBiSHとはどんな存在なのかという話題にも及んだ。BiSHの歴史が幕を閉じる日が、確実に近づいている。 リンリン「自分のちっちゃいときのことを思い出すのがすごい好きなので、BiSHの活動はたぶん今後自分の中でも一番恋しいなって思う活動かなと思うので、そのときそのときを幸せにいっぱい楽しみたいです」 チッチ「感情も言葉も惜しみなく出したいなって思いますし、全部出し切らないと、たぶん自分が一番嫌だと思うんです。何も諦めずに日々、一生懸命に生きたいなって、すごく思います。BiSHは、自分の青春だったんだなって最近気づいたんです。学生時代そんなにめっちゃ楽しかったわけじゃなかったけど、今めっちゃ楽しいんで。『青春』とか『ユース』って言葉とかすごく好きで使ってたんだけど、結局自分にとっての一番の青春は、BiSHだったんだなってすごい思いました、せつないけれど(笑)」 アイナ「BiSHが大好きで天職だと思ってて、BiSH以外の仕事は続いたことがないんで(笑)。メンバーのことも家族みたいに大好きで、たまに自分が傷つけてしまいそうになったときは、胸に手を当てて『自分はこういうとこが弱いんだな』とか『こういうとこでイラッとしてるな』とか極力負の感情にいかないようにして、メンバーを一切傷つけたくないみたいなぐらい大切で。だから駆け抜ける。この後は、なるべく楽しく大切に、大きな愛でやっていきたいです」
BiSH(ビッシュ) アイナ・ジ・エンド、セントチヒロ・チッチ、モモコグミカンパニー、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・D からなる“楽器を持たないパンクバンド”。2015年3月に結成。同年5月にインディーズデビュー。2016年5月、avex traxからメジャーデビュー。以降、「オーケストラ」「プロミスザスター」「My landscape」「stereo future」等のリリースを重ね、横浜アリーナや幕張メッセ国際展示場等でワンマンを開催し、ロックフェスにも多数出演。2023年6月29日に東京ドームで解散ライブを行う。 (取材・文:宗像明将)