健康に害は? パンの袋開けて飛び散る「小さな悪魔」...。マイクロプラスチック問題の実態
ビール、チキン、サーモンには共通点がある。3つとも最高においしいというだけでなく、実はどれも「マイクロプラスチック」が含まれている可能性が高いということだ。 【写真】ハイブランドが「過剰包装」を終了!ルイ・ヴィトンやグッチなどが、サステナブルなパッケージを開始 マイクロプラスチックというと、魚やペットボトル飲料を思い浮かべるかもしれない。だが最新の研究で、スーパーなどで売っている食品にも混入していることがわかった。 環境保護団体のオーシャン・コンサーバンシー(Ocean Conservancy)とトロント大学の研究者が、魚介類、鶏肉、豚肉、牛肉、豆腐など16種類のタンパク質と3種類の肉の代用品をテストしたところ、そのうちの88%にマイクロプラスチックが含まれていた。これは予想をはるかに上回る数字だった。 「科学的研究では従来、主に魚介類に重点が置かれてきましたが、海洋だけに限った問題ではないということがわかってきています」と、トロント大学のロックマン・ラボで研究を行ったマデレーン・ミルン研究員は言う。 マイクロプラスチックとは何か、それはどのようにして食品に入ってくるのだろうか?
マイクロプラスチックとは?
プラスチックはポリマーやオイル、天然ガスなどさまざまな素材から作られ、使い捨てのボトルやパッケージ、衣類、化粧品など何にでも使われる。プラスチックを含むアイテムが壊れると直径5ミリ以下の微細な破片が発生する。プラスチックは分解されるまでに何百年もの時間がかかるが、日々使っているうちにマイクロプラスチックを放出しているのだ。 学術雑誌『Scientific Reports』に掲載された研究では、プラスチック製のパッケージを切ったりひねったり破いたりして開けることでマイクロプラスチックが発生することを発見。つまり食品やパンの袋、ビールや炭酸飲料のボトルを開けるたびにマイクロプラスチックを放出している、ということになる。 さらに微細な「ナノプラスチック」という粒子もある。米国科学アカデミー発行の機関誌『米国科学アカデミー紀要』に掲載された最近の研究では、ミネラルウォーター1リットルには11万~40万粒子と、専門家の予想をはるかに上回るナノプラスチックが含まれていた。