アップルの新製品が「何も変わっていない」という人が気づいていない、「Apple Watch」「AirPods」凄すぎる進化
こうした情報は、ユーザーが許可すれば医師にもPDFファイルとして共有が可能で、より深い診断の材料として使うことができる。 こうしたことができる機器は現在、Apple Watchをおいてほかにない。しかも、アップルはこうした技術を持つ会社を買収したのではない。同社は2015年、大学などの研究機関が健康に関する課題の研究をするために、iPhoneやApple Watchで健康データの提供を許可してくれる被験者を募る「ResearchKit」という開発基盤を提供。これを通じて、世界の研究機関で重要な疾病に関する研究が一気に進んだのである。
「呼吸の乱れ」を診断する機能も、そうやって長い年月を経た研究が身を結んだもので、他社が一朝一夕に真似できる機能ではない。 アリゾナ大学ヘルスサイエンスの睡眠・サーカディアン・神経科学センターのサイラム・パルサザラシー所長は、「睡眠時の呼吸の乱れの存在を確実に特定できるようにすることは、睡眠時無呼吸のような、診断が見過ごされがちで深刻な疾患を発見するために役立つ。これは公衆衛生の改善において大きな前進だ」と評している。
■十数億人を助ける「AirPods Pro 2」 もう1つ質問しよう。 「日本ではおよそ1500万人で世界では十数億人」ーーこれは何の数字だろう? 答えは難聴者の推定人数だ。耳の聞こえの悪さは年長者の問題だと思っている人も多いが、実は日々、大音量で音楽のライブを聴いている人など若者でも少なくない。耳の聞こえが悪くなると、そのうち何度も聞き返すのが辛くなり、孤立感を生むようになる。 アップルのヘルスケア担当副社長で医学博士でもあるサンブル・デサイ氏によると「脳が音を処理しないことに慣れて衰えてしまう問題もある」。その結果、認知能力の衰えが加速するという。「それにもかかわらず80%の人は聴力テストを受けていない」(デサイ博士)。