なぜ大谷翔平はHRを量産できるのか HRにつながる打者最重要項目“バレル”とは?
メジャー単独トップ11号2ランを放つなど、驚異的な活躍を見せる大谷翔平選手。 メジャー2430試合以上のデータを分析するスタットキャストのデービッド・アドラー氏から、その打撃で最も重要とされる要素について伺いました。 【画像】大谷翔平 メジャー単独トップ11号2ランHRのスイングの瞬間
■HRにつながる“バレル”がMLBトップ
大谷翔平選手は4月に7本のHRを放つと、5月は休養日を挟んでから3試合4HRと大暴れ。実に8つもの打者指標でMLB30球団のトップに立っています。 スタットキャストが示す統計項目でも大谷選手の数値はトップクラス。100が最高の各指標でも下の通り、多くの項目で最高の値をたたき出しています。 ・攻撃力 100(.495) ・予測打率 100(.369) ・予測長打率 100(.738) ・平均打球速度 99(94.5マイル) ・バレル 100(24.3%) ・強打率 100(60.9%) ・最適な角度 98(46.1%) 4月24日には打球速度で自身最速191キロの衝撃HRを放った大谷選手。尋常ではない打球速度によって、HRにつながるある数値が上がるとアドラー氏は話します。
アドラー「打撃スタッツの最重要項目です。見てほしいのは“バレル”という項目。大谷選手はMLBで一番です」 バレルとは、打球速度と角度が理想的な数値内に入っていて長打やホームランになる可能性が高い打球のこと。例えば打球速度160キロの場合、角度は24~33度の間が長打やホームランになる可能性が高く、170キロであれば18~38度、180キロであれば10~45度と打球速度が上がるにつれ範囲も広がっていきます。 大谷選手のように186キロ以上の打球速度なら、その範囲は8度から50度。つまり広い範囲でホームランの可能性が見込まれるということです。
アドラー「バレルは、ホームランを打つ目安の数値です。大谷選手は4回打てば1回はホームラン性の当たりになるということ。パワーヒッターにとって、バレルは一番重要なデータ。 大谷選手はメジャーで一番バレルが高いんです」 7日時点で大谷選手のバレルは24.3%。この数値は、ともにドジャース打線をけん引するベッツ選手の約4倍。 初のMVPを獲得した2021年の22.3%や、HR王を獲得した2023年の19.6%と比較しても高い数値であることが分かります。