親子2代で南極へ、越冬隊では初 富山県ゆかりの多賀さん「ますずし提供したい」
24日に発表された第66次南極観測隊の調理担当に、富山県ゆかりの多賀高(たかし)さん(50)=埼玉県川口市=が選ばれた。父の正昭さん(84)が富山市出身で、過去に機械担当として同隊に参加。親子2代続けての隊員は越冬隊では初めてという。正昭さんは同市本町のますずし店「高芳」の生まれで、かつて南極で隊員らにますずしを振る舞った。多賀さんも出発前に高芳で“修業”する予定で、「富山の特産の味を届けたい」と意気込む。 多賀さんは茨城県出身。父の友人や知人に南極観測隊の経験者が多くいたことから、幼い頃から自然と南極に憧れを抱くようになった。父の勧めで料理人として観測隊を目指す道を選び、高校卒業後、都内のレストランで腕を磨いた。現在は千葉県の結婚式場で料理長を務める。 多賀さんら第66次観測隊の越冬隊は12月に出発。2026年2月まで南極に滞在し、隊員31人の食事の用意を担う。「隊員にとって食事は一番の楽しみ。おいしい料理で期待に応えたい」と力を込める。
父の正昭さんは日立製作所に勤める傍ら、1966~81年にかけ、南極観測隊の越冬隊に3回参加した。 ますずしを作ったのは、初めて参加した時だった。実家がますずし店と知った当時の隊長に「富山の名産を食べたい」と頼まれた。 電報で実家に作り方を尋ね、基地の食材をかき集めて、ますずしを作った。味は好評で、その後は観測隊の調理担当者が高芳を訪れ、ますずしの作り方を教わったという。 40年の時を超え、今度は多賀さんが南極でますずしを振る舞う。出発前に高芳で作り方を学ぶ予定で「富山の伝統の味を食べてもらいたい」と意気込む。 いとこに当たる高芳の多賀善治社長は「富山への愛着を感じ、うれしい。料理人としてレベルの高いますずしを作ってほしい」と期待した。 昭和基地へ12月出発 政府の南極地域観測統合推進本部は24日、第66次観測隊の隊員59人を決めた。越冬隊と夏隊の合計で、既に決定している隊長と副隊長を含め計61人となり、最終的に90人編成とする方針。隊員らは12月上旬に空路で出国。オーストラリアで南極観測船「しらせ」に乗船して昭和基地に向かう。