ECB当局者、さらなる利下げを急ぐことに慎重-再びインフレを監視
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)の当局者は、追加利下げの見通しについて慎重な姿勢を示した。追加利下げが実現するかどうか自体に疑問を投げかける発言もあった。
政策委員会は6日、約束通り利下げを決めたものの、インフレ見通しを上方修正。投資家は政策が次にどこへ向かうのかと問いかけている。複数の当局者が7日、ECBは次の行動に向かっているというよりもインフレを監視する段階に戻ったことを示唆した。
ラトビア中銀のカザークス総裁は7日、今後の利下げは「漸進的」であるべきだとの考えを示した。「インフレ率はかなり低い水準まで押し下げられたが、勝利はまだ手中にない」とブログに投稿した。
エストニア中銀のミュラー総裁は同国のラジオ局アリパエブに「中銀は慎重に判断を下し、金利引き下げをあまり急がないことが必要だ」と述べた。
アイルランド中銀のマクルーフ総裁は、ECBがどの程度のペースで利下げを進めるか、そもそも追加利下げをするかどうかも分からないと述べた。
これらの発言からは、米国に先駆けて利下げを決めた後、さらなる行動にためらいのあるECBのムードがうかがわれる。
ラガルドECB総裁は6日の会見で、インフレ率を2%の目標に戻すには時間がかかるとの見通しを示し、記者団からなぜ利下げに踏み切ったのかとの質問を受けた。
総裁は「会合ごとに」「データ次第で」決定する姿勢を重ねて強調した。これを完全に実施するならば、次のステップについて明確なシグナルを出すことは不可能ということになる。
オーストリア中銀のホルツマン総裁は6日の利下げ決定に反対した。1人が反対票を投じたことをラガルド総裁が明らかにした。ホルツマン氏はスポークスマンを通じ「データ主導の決定はデータ次第であるべきだ」との考えを示した。
残りのメンバーの賛成によって利下げは決定されたものの、大半は近い将来の追加利下げには慎重なもようだ。
マクルーフ氏は「ディスインフレプロセスが進んでいると確信している」が、「どの程度のペースで利下げを進めるべきか、実際次の利下げがあるかどうかも分からない」と語った。「道は平たんではない」と論じた。