突然「学校に行きたくない…」完璧主義で苦手を苦手と言えない我が子が心配【専門家解説】
苦手なことやわからないことを周りに相談できず、一人でなんとかしようとするものの時間がかかるばかりで進まない。解けない問題があったら、その先に進めない。完璧主義なお子さまの様子にお悩みのかたもいらっしゃるかもしれません。自分を追い込んでいるようにも見えて、心配にもなるでしょう。 そこで、完璧主義なお子さまへのサポートに悩んだ保護者のかたの体験談をご紹介。子どもの発達や学習支援に詳しいマインEラボ・スペース代表で公認心理士・臨床発達心理士の山﨑衛先生にアドバイスをいただきました。
宿題がうまく進められず悩んでも相談できなかったり、苦手な問題を飛ばして先に進めなかったりと、がんばり屋さん過ぎる一面があるサキさん。
そんな中、「学校に行きたくない」と言われてしまい……。
学習内容の中で苦手な分野があること、またそこへこだわり過ぎてしまう傾向があることがわかりました。
保護者のおふたりは、スクールカウンセラーと担任の先生に相談。
相談の結果、担任の先生が苦手を把握しこまめに声をかけてくれ、サキさんも元気に学校に通えるようになったのでした。 自分一人でなんとかしようとする姿勢や完璧を求める姿勢は一生懸命さの表れではあるものの、度を超えると本人が苦しくなってしまわないか心配ですよね。 うまく肩の力を抜いて自信を持たせてあげるには、どうすればいいのでしょうか。
苦手なことやうまくできないことを抱え込んでしまわないようにするには?
教えてくれるのは、マインEラボ・スペースにて子どもの発達や学習支援事業を行う山﨑衛先生です。 【Q.苦手を抱え込んでしまう子に保護者のかたができるサポートは?】 山﨑先生:まず気を付けたいのは、苦手を抱え込んでしまう子は、自分から保護者のかたに 「これができない」と相談してくることはあまりないことです。 手伝おうとしても嫌がるなど、なかなか手助けもしにくいお子さまもいます。「自分はできるんだ」という思いや、「自分でやらなければダメなんだ」と思い込んでしまっているのですね。 その結果、助けを求められないまま自分を追い込んでいってしまいます。この状態が続くと、マンガのように登校しぶりなどにつながってしまうこともありますので、お子さまがつらさを抱えていないかどうかを注意深く見ていくことがまず大切です。 お子さまへの気付きとして、以下のようなサインを見落とさないことが大切です。 ・テストや宿題に取り組む際に、順番通りに解くことにこだわり、難しい問題で時間をとられてしまい、わかる問題を解く時間がなくなってしまった。 ・宿題になかなかとりかかれない。 ・宿題を終えるのにとても時間がかかる。 ・一つまちがいがあると、やる気をなくしてしまう。 ・手伝おうとするととても嫌がる。 ・できないことがあると学校に行きたがらない。 ・宿題ができないから学校に行きたくないという。 ・腹痛や頭痛を訴えることが増えた。 日頃、このような状況が見られないかどうかを見ていくと共に、家では特に、お子さまが苦手な学習に取り組んでいる時は要注意です。 苦手を見つけたら、ただ指摘するのではなく、どこまでできているかを見極めたうえで「ここまでできているね」と認める言葉をかけてあげてください。そのうえで「もうちょっとだよ」「あとこれだけできれば大丈夫だよ」と背中をそっと押してあげましょう。 宿題で悩んでいる問題がある場合などは、ヒントを出す形で保護者のかたがサポートしてあげるのもいいですね。 「できる」「できない」と0か10で白黒つけるのではなく、できている部分を認めてあげることでお子さまの自信も自己肯定感も高まります。そのくり返しがあれば、完璧であることにこだわりすぎず、苦手がある自分を受け入れられるようになるはずです。