なぜ物価の安いエリアに引っ越さないのか―― 東京都港区の貧困層、大都会の片隅で #令和のカネ #令和の親
港区母子さんから見える、港区の姿とは?
2023年3月に、港区在住の0~18歳の子どもがいる世帯(所得制限なし)に向けて、子ども1人につき5万円分の子育て応援商品券が、給付されました。 普段は節約のためお菓子はなかなか買えない港区母子さんですが、商品券を利用して、子どもに100円均一ショップでアンパンマンのペロペロチョコを2つ買ってあげたそう。満面の笑顔で喜んでくれてことがとてもうれしかったそうです。 どうやら港区母子さんから見る港区と、ラグジュアリーなショップや施設が立ち並び、高所得者層が集まる一般的な港区のイメージとは乖離しているようです。 Q 港区母子さんにとって、港区はどんなイメージですか? 「表参道駅から徒歩5分のところに、東京大空襲で住宅不足になった戦後の青山エリアに建てられた、都営北青山三丁目アパート(旧・青山北町住宅、1947年・昭和22年建設)という都営住宅があります。当時は表参道ヒルズも、ハイブランドの路面店もありません。 戦後から令和の現在に至るまで、同じ場所で公営住宅が維持されつづけている理由はただ1つ、必要としている人がいるからに他ならないのではないでしょうか。 歴史を知っている、昭和の時代から港区に住む先住民の人たちは、ラグジュアリーな街だとは思っていないかもしれません」 富裕層と、貧困と闘う親子――両者が暮らす多様性豊かな、懐の深い街。これが港区の素顔の1つです。 Q これからの夢、目標はありますか? 「子どもが18歳になるまでに大学資金を貯めたいです。子どもが望む進路に進ませてあげたいので、毎月わずかな額をコツコツ貯金しています。 私は最低生活費レベルの収入があって、都営住宅住みです(さらに水道代の支払いには東京都の児童扶養手当証のひとり親世帯向け減免制度を利用しています)。 それならば、言うほど生活は苦しくないのでは?と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。私は親の介護をしています。両親ともに存命のため、介護費は2人分かかります。今後医療費などまとまった出費があれば、間違いなく生活できなくなってしまいます。そうならないためにも今から貯金しておくことが重要です。 子どもが小さい今のうちに、どれだけ節約し、どれだけ貯金したかで、私たち親子の今後の人生は大きく変わると思っています」