女性警察官を交番仮眠室に呼びつけわいせつ、別の部下には駐車場の車内での仮眠指示…執行猶予付き判決
熊本県内の交番で、部下だった女性警察官にわいせつな行為をしたとして、強制わいせつ致傷罪に問われた元県警警部補の男の裁判員裁判の判決が16日、熊本地裁であった。中田幹人裁判長は「職務上の優越的な立場を利用した卑劣な犯行」として、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役3年6月)の判決を言い渡した。
判決によると、男は昨年2月3日夜、自身が交番長を務める交番の男性仮眠室に来るよう女性にメッセージを送り、仮眠室に来た女性に午後11時15分頃から4日午前0時頃までの間、体を触るなどわいせつな行為をして全治約10日間のけがを負わせた。男は部下の男性警察官には駐車場の車内での仮眠を指示していた。
判決は「被害者が抵抗や拒絶が難しい状況で実行した」と指摘。女性は恐怖や屈辱などの精神的被害で休職を余儀なくされており、「悪質」と断じた。一方、慰謝料の支払いなどを考慮し、執行猶予を付けた。
公判では、被害者保護のため男の氏名や住所は非公開となった。県警は「複数の職員にセクハラやパワハラを行った」として昨年8月10日付で男を懲戒免職としたが、公表していなかった。松見恵一郎・首席監察官は「判決を重く受け止め、県民に深くおわびする」とコメントした。