「第二の地球」にもう驚かない? 変わる系外惑星発見の意味
「地球サイズの惑星が7つある」NASAの発表
系外惑星の発見から20年余り。今回NASAが発表した最新の成果は「トラピスト-1」という恒星の周りに地球とほぼ同じサイズの惑星を7つ発見した、というものでした。トラピスト-1は地球から約39光年離れた、みずがめ座の方向にある恒星です。温度は低く、太陽が約6000度であるのに対し、トラピスト-1は2000度程度しかありません。 発見された7つの惑星は大きさだけではなく、岩石で出来ているという特徴も地球と似ています。地球に似た惑星が、一つの恒星で7個も発見されることはこれまでありませんでした。極端ないい方をすれば、太陽系で生命が存在する惑星は地球のみですが、このトラピスト-1においては、7つの惑星に生命がいるかもしれません。 さらに、この7つの惑星のうち3つが、水が液体として存在できる位置にあるというのです。惑星の位置が恒星から近いと熱いために水は蒸発してしまい、遠いと氷になってしまいます。そのため、水が液体で存在できる範囲は限られています。しかし、生命の多くが液体の水を体に蓄え、水のあるところにほぼ必ず生命がいるため、液体の水があるならば生命がいる確率は高まります。
期待できる惑星ではありますが、生命が存在できる環境かどうかこれだけでは分かりません。まだまだ他の要素も調べる必要があるからです。 例えば、惑星に大気があるかどうか、さらにその成分はどうなっているか、ということも重要です。地球と金星はどちらも大きさがほぼ同じ岩石惑星ですが、金星は厚い二酸化炭素の大気に覆われているため、地表の温度は400度以上もあります。この温度の差は太陽との距離の違いでは説明できず、大気の違いが環境の違いとなって現れています。 今回発見された7つの惑星はどれも生命がいる可能性がありますが、さらに詳細に惑星の環境を調べることが必要とされているのです。
「生命がいる」ことが当たり前の時代に
NASAでは、2018年に「ジェイムズ・ウエッブ宇宙望遠鏡」を打ち上げる予定です。この望遠鏡を使うことで、系外惑星の大気組成や惑星の温度、表面の気圧を分析できるようになります。特に、水蒸気、二酸化炭素、メタンといった宇宙生命探査において注目すべき大気の成分を調べることができます。今回発見された7つの系外惑星について、NASAはこの望遠鏡を使って、より詳細にその環境を調べようと計画しています。