レッドブル昇格は叶わずも、2024年大活躍した角田裕毅……もっとも印象に残ったシーンは?:読者が選ぶ角田裕毅ベストモーメント2024
4位:ハンガリーGP決勝1ストップで9位入賞
7月下旬のハンガロリンクは当然暑い。そのため基本的な戦略は2ストップであった。 しかし角田は、この厳しいコンディションながら1ストップで走り切ることに成功した。タイヤを徹底的に労り、ペースも極端に落とすことはなかった。 またチームが角田をピットに呼び込むタイミングも抜群だった。角田は70周レースの29周を走り切ったところでピットインしたが、このタイミングが1周でも遅れていたら、ハースのケビン・マグヌッセンに先行されていたはず。そのマグヌッセンに蓋をされていたら、入賞は叶わなかったかもしれない。
3位:雨のサンパウロGP決勝。フルウエットタイヤで激走……しかし!
3位には、雨のサンパウロGP決勝レースがランクイン。 雨の予選で3番グリッドを手にした角田は、引き続き雨が降った決勝でも終始入賞圏内をキープしていた。 しかし徐々にペースが落ち、アルピーヌのエステバン・オコンに抜かれてしまう。ちょうどその頃、ハースのニコ・ヒュルケンベルグがコースアウトしたことでバーチャル・セーフティカーが出動。角田は28周目を走り切ったところでピットに飛び込んだ。 同じタイミングで他の数台もピットインしたが、履いたのはインターミディエイト(浅溝のウエットタイヤ)だった。しかし角田は、フルウエットタイヤを選択。この頃雨量は強まっており、これがドンピシャの選択だった。 角田は1周あたり10秒近く速いペースで前を行くマシンを猛追。このままいけば、首位に立つのも時間の問題であるように思われた。しかし雨が強くなったことでセーフティカー出動となり、その間にウイリアムズのフランコ・コラピントがクラッシュ。赤旗中断となった。 この赤旗中に、まだタイヤを交換していなかったマシンはタイヤを交換することができたため、角田の戦略の旨みは消えてしまった。 しかし優勝さえ見えた走りに、期待が高まった1周と少しだったと言えよう。
2位:F1日本GP決勝10位入賞。神がかり的ピットストップ
今年から春開催となったF1日本GP。角田はこのレースで、10位入賞を果たした。角田にとってはこれが、母国での初入賞となった。 このレースで特筆すべきは、ピットでの3台抜きである。22周目、5台のマシンが同時にピットインする。角田はこの時、この5台のうちの4台目を走っていた。 しかしピットアウトした時には、角田がこの中で先頭。なんとピット作業で3台を抜いたのだ。 ただこのピットでの3台抜きは、幸運すぎる状況であったのも事実。角田の目の前でピットインしたマグヌッセン、ボッタス、サージェントの3人は、ピット作業に手間取り、角田よりも2~3秒失っていたのだ。 実はこのピット作業より秀逸だったのは、レース終盤のペースコントロール。角田はアストンマーティンのランス・ストロールに追いつかれると、ペースを絶妙に落としてこれを抑え続けた。ストロールのマシンは最高速が伸びておらず、要所を押さえておけば抜かれるリスクは少なかったのだ。 抜けないストロール陣営はたまらずピットイン。すると角田は突如ペースを上げ、逃げ切ってみせたのだ。 角田が超冷静な戦いぶりを披露した。そんな鈴鹿での1戦だった。