《総選挙“ひとり勝ち”は大新聞とテレビ》総務省の資料から判明! 血税約79億円が投じられる大メディアの「選挙ビジネス」のカラクリ
10月27日投開票の総選挙では、自民党が56議席減という大敗を喫した。こうした総選挙では巨額の金が動く。国政選挙は全額国費で賄われ、国から選挙の実務を担う都道府県などに交付される。石破茂・首相は衆院を解散すると、10月11日に総選挙経費として予備費から約815億円を支出することを閣議決定した。では、その費用は一体どう使われるのか。取材を進めるとメディアに多大な額のカネが“バラ撒かれていた”実態が発覚した。選挙関係者が言う。 《一覧表》総選挙で大新聞・テレビに流れるカネ 1位読売新聞から10位新潟日報まで順位と金額が一目瞭然
「各自治体は国の指示がないとポスター掲示板の発注や、有権者に郵送する投票所入場券の印刷に取りかかれない。準備には少なくとも1か月以上必要だが、今回は10月9日解散、27日投開票という超短期決戦だったから、投票所入場券の印刷が間に合わずに有権者に届くのが遅れたり、いつもの開票所が押さえられないといった混乱が全国で起きた」 石破首相が国会で首相に指名される前日に「10月27日」という日付まで特定して総選挙を予告するという“フライング解散予告”を行なったのは、そうした裏事情があった。
新聞広告と政見放送で約79億円
選挙では候補者が有権者に送る公選ハガキ、選挙運動用のチラシ(法定ビラ)、ポスターの作成費から新聞広告、政見放送の費用まで、公費負担、つまり国民の税金で賄われる。公選法で定められた「選挙公営」という制度だ。 総務省の「令和6年度一般会計予備費使用要求書」によると、主な内訳は、「候補者用無料葉書購入費」(公選ハガキ)が約34億円、「新聞広告費」が約32億円、国から自治体に交付される「衆議院議員総選挙執行委託費」が約730億円だ。 自治体への委託費には、投票所経費(約167億円)をはじめ、ポスター掲示場費(約48億円)、政見放送公営費及び経歴放送公営費(約47億円)などが含まれる。1回の総選挙で「新聞広告」(約32億円)と「政見放送」(約47億円)を合わせて約79億円が税金から新聞・テレビに投じられる。 選挙公営とは別に、各政党が使う宣伝広告費用もある。前回総選挙が行なわれた2021年分の各党の「政党交付金使途等報告書」によると、新聞広告やテレビCMなどの「宣伝事業費」に自民党は約1億4961万円、立憲民主党は約3億3715億円支出していた。政党交付金だからこれも税金だ。 解散・総選挙になれば「選挙公営」と政党の宣伝事業費を合わせてざっと100億円規模のお金が降ってくるのだから、新聞・テレビにとって、選挙がいかにおいしい商売であるかがわかる。今回の総選挙の“真の勝利者”は、新聞・テレビではないか。