「関鯨丸」が帰港した山口県下関市で「ナガス鯨フェア」始まる…特においしい鯨種、25の飲食店で提供
山口県下関市を母港とする捕鯨会社「共同船舶」(東京)の新母船「関鯨丸」が5月の初出漁以降、初めて帰港した17日、着岸した国際物流拠点・長州出島(人工島)では同社の関係者らが出迎えた。鯨肉に親しんでもらい、「鯨の街」づくりの機運も高めようと、市内では同日から「ナガス鯨フェア」が始まり、21日には「くじら祭り」が企画されている。(平木和頼) 【写真】関鯨丸の船尾にある「スリップウェー」から船内に引き揚げられるナガスクジラ
関鯨丸は午前9時10分、白と青色の船体を岸壁に横付けした。長州出島のふ頭エリアなどは立ち入りが制限されているため、セレモニーなどは行われなかった。北海道沖で11月16日~今月6日に捕獲したナガスクジラ10頭とイワシクジラ6頭の冷凍肉計約250トンを積んでおり、乗組員らが数日かけて陸揚げする。鯨肉は市内のスーパーや量販店などに並ぶほか、飲食店で料理として提供される。
ナガスクジラは今年7月に商業捕鯨の捕獲対象に加わり、日本の商業捕鯨で捕獲されたのは約50年ぶり。その肉は全ての鯨種の中でも特においしいとされる。
そこで、官民でつくる市鯨肉消費拡大推進協議会(事務局・市くじら産業推進室)は23日まで市内でナガス鯨フェアを企画。関鯨丸が仙台市に陸揚げし、既に流通しているナガスクジラの冷凍肉を使った料理を25の飲食店が提供する。提供店は同協議会の情報発信サイト「感鯨下関」に掲載されている。
くじら祭りは共同船舶が市立しものせき水族館・海響館そばの特設会場で開催。当日は午前10時~午後3時、キッチンカーが鯨肉を使ったハンバーガーやカレー、竜田揚げなどを販売するほか、鯨関連の様々な店が並ぶ。同協議会主催の「下関くじら祭」も同時に開かれ、鯨肉を使った下関はりはり鍋やバーベキュー料理が振る舞われる。いずれも200食限定。
共同船舶の武田直樹・下関出張所長は「この機会にぜひ、鯨肉や鯨文化に触れ、その良さを知ってほしい。鯨肉の消費拡大につながればうれしい」と話している。