PGAツアー1年生・久常涼 「ボクは亀なんでコツコツと」/単独インタビュー後編
PGAツアー本格参戦初年度で来季のシード権をほぼ手中に収めた久常涼。欧州ツアー(DPワールドツアー)を経てたどり着いた新天地は22歳の青年の目にどう映っているのか。インタビュー後編は初めての米国生活、そして先を行く日本人PGAツアー選手からの助言を明かした。(取材・構成/服部謙二郎)
初の米国生活 “食プラン”が見つかった
PGAツアー1年生の久常は、毎週モンスターコースと対峙し、化け物みたいに飛ばす選手と戦ってきた。環境に順応するだけでも大変な作業に思えるが、さらに初めての米国生活ともあって慣れないことも多かったに違いない。 全国のツアー会場を渡り鳥のように転々とする日々。約8カ月の異国での転戦を終えた久常に生活面での苦労を聞くと、「最終戦を終えた頃に、ようやくどう過ごせばいいか分かった気がします」と大きく息を吐いた。 「正直、ガムシャラに突っ走ってきたので、生活している実感、余裕はなかった。成績が落ち着いてきた6月に(シカゴで)野球観戦に行ったぐらい。アメリカで初めてリフレッシュらしいことをした」。本格参戦から半年ほど経ってから、ようやく周囲の様子を落ち着いて見られるようになった。
広大な米国大陸は東西で最大3時間の時差があり、移動だけで丸一日かかることがザラ。飛行機の遅延や欠航は日常茶飯事、レンタカーを借りたり、荷物を送ったり、日本では何気ない作業も簡単にはいかない。 生活面で一番気にしていたのは“食”だ。「一年を終えてようやくプランができた。各試合のごはん屋さん、ここに行けば間違いないというのを見つけました」と、やはり胃袋が満足しないと安心して戦えない。シーズンのはじめは転戦に帯同する恋人の古川莉月愛(りるあ)さんに食事を作ってもらっていた。「それもやめました。試合が終わって帰ってきてから料理を作ってもらって…だと大変なんで、『もう外食でよくない?』って」 外食は韓国料理、日本料理などアジア料理が中心。最近ハマっているのがチポレ(Chipotle)というメキシカンファストフード店だ。「週4ぐらい行きます。(レギュラーシーズン)最終戦のウィンダム選手権では6回行きました。米、肉、野菜、自分で好きなものをトッピングした混ぜご飯のような食べ物で、全部入れてもらうのが好き」 毎日同じご飯につき合う古川さんも「もう気にならなくなりました。おかげさまで(笑)」とこちらもたくましい。初優勝したあかつきには、松山先輩のチックフィレのように、チポレの名前を出すといいだろう。ひょっとしたらスポンサーになってくれるかもしれないから。