《ブラジル》EUメルコスルFTAの恩恵は?=消費者には選択肢増や価格低下
25年にわたる交渉を経て、メルコスルと欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)の合意内容が6日発表された。この協定により、EUからの輸入品の91%が非課税で取引されることとなり、特に農業製品や乗用車などが価格面で恩恵を受けると予想されている。EU側も全体の貿易で99%の関税を撤廃する計画を立てており、商業関係が一層活発化することが期待されていると6日付のCNNブラジルなどが報じた。 農業分野においては、メルコスルがEUに対して貿易品目の98%、関税品目の96%に優遇措置を提供することが規定されており、EUから輸入される乳製品、オリーブオイル、ワインなどが特に注目されている。これらはブラジル内での生産量が少なく、EUからの輸入増加により価格が下がると予測されている。 このように競争激化が見込まれ、ブラジル内の農業部門には、EU産品に対するさらなる競争力強化が求められる。特にワイン市場では、EUが提供する高品質で多様な品種の製品がブラジル市場に流入するため、競争が一層激しくなると予測されている。この変化により、価格低下だけでなく品質向上を促進する可能性があり、消費者にとっては選択肢が増えることが期待される。 一方、メルコスルからEUに輸出されるコーヒーや果物(アボカド、レモン、ライム、メロン、スイカ、ぶどう、リンゴなど)については関税撤廃が明記されている。一部の品目(牛肉、砂糖、エタノール、蜂蜜など)に関しては、一定の割当量を設けた上で関税を段階的に引き下げる方針だ。この結果、EU市場へのアクセスが拡大し、ブラジルからの輸出増加や経済的な恩恵が期待されている。 工業分野では、メルコスルが15年以内に貿易品目と関税品目の91%を削減することを定めており、特に自動車産業では、高級車を中心に価格が下がる可能性がある。これにより、長期的には市場競争が活発化すると見られている。 一方EU側は、10年以内に100%の工業品関税を撤廃する計画を立てており、これによって両地域間の貿易が一層円滑化すると予測されている。 協定はサービス業にも影響を与えると見込まれており、特にコンピュータ関連やコンサルティング業務など、高い付加価値を持つ分野での取引が活発化することが期待されている。サービス業における規制緩和や商業的なつながりの強化により、両地域の経済活動が促進され、新たなビジネスチャンスが生まれることが期待されている。