九州交響楽団の首席指揮者・太田弦、満を持してマーラー「交響曲第9番」に挑む…2025年度プログラム
九州交響楽団(福岡市)の2025年度主催公演のプログラムが決まった。ファン拡大を図り、ベトナム国立交響楽団や航空自衛隊との共演といった新たな取り組みに挑戦する。首席指揮者として2年目を迎える太田弦は、意図的に幅広いジャンルに取り組むと公言しており、指揮者デビュー10年で満を持してマーラーの「交響曲第9番」を取り上げるなど意欲的なプログラムに臨む。(後田ひろえ) 【表】九州交響楽団の2025年度の主な演奏会
演奏会の柱の一つだった「名曲・午後のオーケストラ」シリーズをやめ、芸術的な挑戦の場と位置づける定期演奏会(定演)でより多くの集客を目指そうと、一部を祝日の午後開催にするなど大幅な改革を行った。
4月25日に福岡市民ホールの開館記念として行う特別公演では、福岡県と友好都市提携を結ぶベトナム・ハノイのベトナム国立交響楽団のメンバーらと共演し、ドボルザーク「交響曲第9番〈新世界より〉」などを演奏。同ホールでは8月24日、障害のある人にも配慮する「夏休みリラックス・コンサート」も太田の指揮で予定されている。
9月6日には、国内最高水準の吹奏楽団、航空自衛隊航空中央音楽隊を迎え、ストラビンスキーのバレエ音楽「春の祭典」などをジョイントコンサートで届ける。
11月8日、熊本県立劇場(熊本市)と共催する同劇場での特別演奏会も新たなファン獲得を目指した取り組みだ。あえて福岡での定演と同じプログラムで臨むのも大きな挑戦と言える。
定演9公演のうち、太田は3公演に出演。今年、太田が指揮をした「天神でクラシック」やサマーコンサートは完売になるなど手応えを感じつつ「初年度は注目してもらえた部分もある。2年目以降も継続していかなければ」と気を引き締める。今年3月まで音楽監督を務めた小泉和裕はドイツ音楽を中心的なレパートリーとしてきたが、太田はベルリオーズ「幻想交響曲」などのフランス音楽(4月11日)やエルガー「エニグマ変奏曲」などのイギリス音楽(9月15日)と、ジャンルにとらわれないことを自身の「らしさ」と考える。