【山口発】始まりは「陸でのトラフグ養殖」 他業種に挑戦し、地元企業を繋いだ建設会社のピボット
日本海に面した山口県長門市。地元に根ざした総合建設会社として、土木、建築、住宅の事業分野でインフラを支えてきた安藤建設では、バブルが始まった1985年あたりから次の時代を見据えて、多角経営を行ってきました。 陸でのトラフグの養殖をスタートさせ、現在は地元の水産業を支える規模に成長。畜産業や介護、農業と、人口減少を支えながら事業として発展させてきました。 大成功したトラフグの養殖事業を中心に、地方の建設業による地域と連携した地方創生の試みをリポートします。
地元企業の得意を集めて新たな養殖事業を展開
建設業界から陸でのトラフグの養殖に成功した安藤建設は、その技術と利益を自社にとどめず、地元の水産業社と共に新たな会社を設立します。
地元で4代続く鮮魚店である「大小早川商店」や食事処の「㐂楽」、建築資材メーカーの「花谷工業」、地元の漁業者の「河部努」と長州ながと水産株式会社を設立。国定公園である青海島の美しい海水を活用したトラフグの養殖場を新設し、安藤建設で得た技術を地元企業に還元していきました。 安藤建設の代表取締役社長であり、長州ながと水産の代表取締役でもある安藤繁之さんに伺いました。
安藤「大小早川商店さんは道の駅センザキッチンでトラフグを販売してくれますし、㐂楽さんは楽天やふるさと納税としてネットショップを展開してくれています。長州ながと水産株式会社で養殖しているトラフグは全てこの2社が買ってくれています」 地元の企業とのつながりをフル活用することで、一人勝ちするのではなく、技術と利益を共有し、地域全体を盛り上げています。
餅は餅屋。PRは首都圏と連携
新規事業を創出する地方の企業にとっての壁となる課題といえば、首都圏や全国各地への進出経路です。安藤さんはこう語ります。 安藤「我々が担う一次産業ではやはり、適正な価格で買ってくれる人がいない限り、やがて事業が立ち行かなくなります」 秘策は、JR西日本など、すでにブランド力とPR力を持つ企業との事業展開でした。 安藤建設の取締役営業部長であり、長州ながと水産の営業部長でもある安藤雄紀さんに伺いました。