パートで週2日~の募集を見て応募。採用されて出社すると「最低でも週5日入って」と言われました。こういうことは「あるある」ですか?
子育てや主婦業と仕事を両立するためにパートという働き方を選択した人にとって、入社後に働き方の条件を大きく変えられてしまうことは、簡単には承諾できない問題でしょう。それでも「もう入社してしまったし仕方がない」と、不本意な条件を受け入れた経験がある人もいるのではないでしょうか。 本記事では、募集時と採用後で労働条件が異なる場合に受け入れざるをえないのかどうかの、法的な観点による考え方や、労働条件が事前の合意と異なる場合の対処法について解説します。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
労働契約にどう定められているかがポイント
採用後に提示された募集要項と異なる労働条件を受け入れなければならないのかどうかは、入社時に結んだ労働契約やその会社の就業規則にどのように定められているか、その条件がきちんと把握できる状況であったかによります。 労働基準法では「使用者は労働者を採用するときは、賃金・労働時間その他の労働条件を書面などで明示しなければならない」と定められています。また、労働契約法で定められているのは、労働契約を締結する場合に「合理的な内容の就業規則が労働者に周知されている場合」に限って、就業規則の内容がそのまま労働条件になるという内容です。 表題のケースでは、労働契約や就業規則に「最低でも週5日の出勤」が条件として示されていて、それを確認したうえで労働契約を結んだのであれば、募集要項と実際の労働条件が異なっていても、採用側に違法性はありません。 面接時の合意内容とは違う内容で流されるままに契約してしまうことがないよう、契約をする前に「労働条件通知書」を出してもらい、事前にしっかり内容を確認するのがおすすめです。
一方的な条件の提示は労働契約法の基本原則に反している可能性がある
労働契約上の合意があれば、募集要項と実際の待遇に相違があっても問題はありません。しかし、労働者の事情を考慮せずに一方的に労働条件を提示された場合は、労働契約法に定められた労働契約の基本原則に反している可能性があります。 労働契約の基本原則では、次の4つが示されています。 ●使用者と労働者が対等の立場による契約であること ●就業の実態に応じて処遇のバランスを図ること ●仕事と生活の調和(ワークライフバランス)に配慮すること ●誠実に行動し、権利を濫用しないこと 労働者の事情を無視して週5日の勤務を強要することは、労働者のワークライフバランスへの配慮に欠けており、使用者と労働者が対等の立場で契約が結ばれているとも言えないでしょう。