「進化するブルー軍団」大津は先輩たちの継続の力も支えに初の日本一。埼スタで平岡和徳TDを歓喜の胴上げ
[12.15 プレミアリーグファイナル 横浜FCユース 0-3 大津高 埼玉] 「山城監督を中心に、本当に若いスタッフと、そして何よりも今日ピッチでね、最善を尽くしてくれた選手たちのお陰だという風に思っていますし、この大会にこうやって出れるのは、積み上げてきた先輩たちの継続があったからなので、あらゆる方々に感謝の気持ちでいっぱいです」 【写真】「可愛すぎ」「佐々木大樹のモノマネ?」乃木坂46五百城茉央さんがオフショット公開 熊本の公立校、大津高を30年以上に渡って指導してきた平岡和徳テクニカルアドバイザー(TD)が埼玉スタジアム2002で宙に舞った。平岡TDは高校時代、帝京高(東京)主将として1983年度の選手権で日本一に輝いている。筑波大卒業後に教員となり、日本代表DF谷口彰悟や元日本代表FW巻誠一郎ら50名以上のプロサッカー選手を育成。また、2021年度選手権準優勝や2014年インターハイ準優勝を経験してきたが、指導者としては今回が初の日本一だ。平岡TDは選手、スタッフ、そして礎を築いてきてくれた卒業生たちに感謝した。 大津はCB植田直通(現鹿島)が主将を務めていた2012年のプレミアリーグ参入戦でMF豊川雄太(現京都)がハットトリック。香川西高(現四学大香川西高、香川)に6-1で快勝し、初のプレミアリーグ昇格を果たした。 だが、参入1年目の2013年は、プレミアリーグWEST18試合で2勝に終わり、10位(最下位)で降格。2年後の参入戦を突破して再びプレミアリーグに戦いの場を移したが、2度目の挑戦も2年目の2017年に10位で再び降格した。 それでも三度昇格すると、鹿島で活躍中のDF濃野公人が主将を務めていた2019年からは一度も降格することなく、プレミアリーグに残留。大津の伝統である追い越す動きに加えて守備の強度や切り替えの速さが磨かれ、年々“プレミア仕様”のベースを高めてきた。 そして、今年はプレミアリーグWEST22試合で18勝を挙げ、歴代最多となる勝ち点55で初優勝。ファイナルでもプレミアリーグEAST優勝の横浜FCユースに3-0で快勝した。結果を残した世代だけでなく、5バックで我慢しながら戦った世代、敗れても経験を後輩たちに伝えた世代、トップチームだけでなく、セカンドチームをプリンスリーグ九州1部に残留させた選手たちなどの頑張りもあっての日本一だ。 山城朋大監督も「本当にこの1年という訳ではなくて、(これまで2度降格し、)3度目の参入で、今、こうやって残留を続けることができて、こういう場所に立てていると思っています。本当に濃野たちから始まったプレミアリーグ第3回目の僕らの挑戦ではあるんですけど、そういう積み上げがやっぱり1番かなと思いますし、今年のレギュラーの選手も大半が昨年のプレミアリーグやセカンドチームとして昨年プリンスリーグ九州で主力として戦ってきたメンバーですので、本当にこの積み上げっていうものが今のチームに繋がっていると感じています」とOBたちに感謝していた。 大津は当たり前のことを人並み以上にやり抜く「凡事徹底」「諦めない心」を大事に、人間として、選手として日々進化。ただし、これまでトーナメント戦で悔し涙を呑んだことは幾度もある。今年も日本一を期待されたインターハイで初戦敗退。それでも、「進化するブルー軍団」は敗戦の悔しさも糧とし、高体連チームとして流通経済大柏高(千葉)、青森山田高(青森)に続く3校目、公立校として初めてプレミアリーグファイナルの勝者となった。 山城監督は選手たちの初優勝、また恩師・平岡TDが指導者として初の日本一になるサポートをできたことを喜ぶ。「僕は大津高校OBでして、ずっと平岡先生を追いかけて大津高校に入学をして。 で、(指導者として)大津高校に入るきっかけになったのも、自分の代で選手権出れずにどうにか平岡先生に恩返ししたいっていう思い、平岡先生を日本一にしたいっていう思いがありましたので。そういう意味では、本当に色々なOBを代表して僕は平岡先生と今、一緒に仕事をさせてもらっていて、平岡先生をようやく指導者としても、選手としても日本一っていうところにたどり着くことができて、そこに僕自身も1つサポートできてすごく幸せに思っています」と頷いた。 平岡TDは「ありがたいですね。指導者冥利に尽きるというか、こういう大津イズム、平岡イズムが広がっていくことが1つの熊本のサッカーの発展につながればいいと思って日々やってきましたので、1つの成果として、また子供たちの未来に繋がるようないいサッカーをしてくれましたので、自信を持って今後もまた育成に取り組んでいきたいと思います」と微笑んだ一方、「今日、勝ったことは素晴らしいことですけれども、綺麗な満月も今日からまた欠き始めますので、選手権に向けて素晴らしいものをまた作れるように頑張りたいと思います」と引き締めていた。 この日、日本一の景色を見た選手たちも、“大津らしく”まだまだ成長し、もう一つタイトルを取る意気込みだ。CB五嶋夏生主将(3年)は「自信にもなりましたし、満足することなく選手権もあるんで。もう一回取れるようにっていうのは、みんな常に考えてることだと思います。そういう風に思えてるってことは、さらに成長できると思うんで、また1、2週間後にもっと強い大津高校を見せられるようにと思っています」。今年のチームは先輩たちの継続の力を日本一に結実。自分たちも選手権まで努力を継続し、次は国立競技場で恩師を胴上げする。