6月スタートの線状降水帯「予測」情報 活用する上での注意点は? #災害に備える
線状降水帯の「予測」情報、注意すべき点とは?
新しくスタートする線状降水帯の予測情報だが、活用する上で注意すべき点もある。 一つは予測精度が低いため、「予測情報が発表されなかったが線状降水帯が発生するケース」、いわゆる「見逃し」がある点だ。気象庁が今回の運用を過去の事例で検証したところ、「見逃し」が3回に2回程度あったという。 このため、「予測情報が発表されていないことは安心情報にならない」ということに留意する必要がある。 一方、同様の検証で「予測情報が発表されて線状降水帯も発生したケース(予測が的中したケース)」は地方単位で4回に1回程度しかなかった。ただし、検証では「予測情報を発表した場合は線状降水帯が発生しなくても大雨になる可能性は高い」という結果も出ている。線状降水帯が形成されなくても豪雨災害が発生するケースはあることから、予測情報が発表されたタイミングで、いざという時のための備えの確認などを心掛けたい。 また、予測情報が発表されている間も、他のさまざまな防災気象情報は発表される。さらに線状降水帯が発生する可能性がある時間帯まで6時間未満となった段階で予測情報は終了し、「警報」や災害危険度を色別で示す「キキクル(危険度分布)」など、従来からある情報で警戒を呼び掛けることになる。 これについて、気象庁の担当者は「予測情報は、豪雨災害への心構えを一段高めることを目的としたものだが、6時間未満となった場合はもはやそういう段階ではなく、具体的な避難行動が必要なため」と説明している。 新しい予測情報だけにとらわれることなく、従来から気象庁が発表している「大雨警報」「土砂災害警戒情報」などの防災気象情報や「高齢者等避難」「避難指示」など自治体が発令する避難に関する情報などを注意深くチェックすることが大切になるだろう。
今後の予測精度向上の計画は?
線状降水帯の予測情報の精度は、現状では決して高くない。こうした中、気象庁は水蒸気観測の強化や予測技術の開発などを進めることで、予測精度の向上に取り組む方針。精度向上に伴って、この予測情報の改善も進める予定で、再来年の2024年からは現在の地方単位を県単位に、2029年からは市町村単位に対象地域を段階的に狭めていきたいとしている。