川崎重工、裏金問題の調査結果を公表 架空取引は6年間で17億円
海上自衛隊の潜水艦修理をめぐる裏金問題で、川崎重工業は27日、2023年度までの6年間で架空取引の総額が約17億円に上っていたとする社内調査の結果を発表した。裏金から潜水艦乗組員の物品への支出は少なくとも40年にわたっており、防衛予算をめぐる官民の癒着ぶりがあらわになった。 不正があったのは、船舶の建造などを手がける川崎重工神戸工場(神戸市中央区)で、海自の潜水艦の検査・修理を担当していた修繕部。大阪国税局による川崎重工への税務調査で発覚し、同社が4月に防衛装備庁に報告。同社は6月に外部有識者で構成する特別調査委員会を設置し、社員らの聞き取りをしていた。 調査報告書によると、架空取引は潜水艦の修理にからみ、正規の資材発注を装って、川崎重工と3社の取引業者との間で繰り返されていた。主に消耗品を実際の取引よりも多く発注する手口が多用され、捻出された不正な資金は取引業者でプールされていた。裏金づくりには二次下請け業者も加担していた。 3社との間との架空取引は、18~23年度の6年間で16億9800万円に上り、その大半が1社に集中していた。裏金のうちいくらが乗組員に供与された物品・飲食代に充てられたかは不明だという。同様の架空取引による物品供与は、遅くとも1985年ごろから続いていたとみられる。
朝日新聞社