長期金利1.175%に上昇 米金利受け、「上限は1.2%程度」
8日の東京債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが上昇(国債価格は下落)し、終値は前日比0・035%高い1・175%だった。約13年半ぶりの高水準。堅調な米経済を背景に米国の長期金利が上昇したことを受け、日本国債を売る動きが強まった。 米国では、大統領就任を間近に控えたトランプ氏が主張する関税政策や減税政策で、物価上昇(インフレ)を再燃させる懸念が高まっている。7日発表の経済指標が市場予想を上回って米経済の堅調さが確認されたこともあり、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が後退。米10年国債利回りは一時4・6%台後半に上昇し、2024年4月以来の高水準となった。 日本の長期金利も上昇傾向にある。米金利の上昇に加え、市場には「日銀が市場の想定以上に利上げを継続する可能性が意識された」(関係者)との見方がある。 長期金利の上昇は身の回りの金利上昇を通じて暮らしに波及する。銀行の定期預金の金利引き上げでより多くの利息収入を得られる可能性がある一方、住宅ローンの固定型の適用金利が上がれば新たにローンを組む家計は負担が膨らむことになる。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストは「財務省が7日に実施した国債入札は順調な結果だった。国債買いのニーズはしっかりとしている」として、金利上昇に歯止めがかからない事態は想定しにくいと指摘。「米長期金利の動向次第だが、当面の上限は1・2%程度になりそうだ」と述べた。【成澤隼人、井口彩、浅川大樹】