タクシー不足による「交通空白」にどう対応? 衆院選での「ライドシェア」議論は
「タクシーが、つかまらない」。誰もが経験したことがある、この経験、最近さらに多くなっているのではないでしょうか。タクシー不足を埋める期待があるのがライドシェア。その推進について、衆院選の各党の公約はどうなっているのか、今後の議論の行方を考えます。 【図解】給付?減税?各党の物価高対策は<#きっかけ解説>
■日本各地でタクシー不足…ライドシェアの現在地は
タクシーが、つかまらない状況。背景にあるのは、タクシーの需給のバランスの崩れです。国交省によりますと、2007年度ごろをピークに、車両数は減少傾向。ドライバーの高齢化も進んでいます。 一方、インバウンドの急増などにより、タクシーの需要は増大しています。日本を訪れた外国人の数は今年9月時点で、すでに昨年の年間累計の約2506万人を超えました。 さらに、タクシー不足問題は過疎化が進み、電車やバスの本数が減少している地方においては「移動の足」のひっ迫にもつながり、都市部以上に状況は深刻です。 こうした中、推進の是非が議論になっているライドシェア。ひと言で「ライドシェア」と言っても、その種類は様々です。 まず今年4月に始まった「日本版ライドシェア」。タクシーが不足している地域や時間帯に絞って導入され、タクシー会社の管理のもと、一般ドライバーが自家用車を活用して乗客を運ぶことができるようになりました。 また、自治体やNPO法人などが運営主体となり、一般ドライバーが自家用車で乗客を運ぶ「公共ライドシェア」の取り組みも各地で始まっています。 ただ、場所や時間帯の制限があることなどから、あまり活用が広がっていないのが現状です。 また、「相乗り」という選択肢もあります。乗降する地点や日時を選んで予約し、他の客と一緒に乗車するサービスで、通常のタクシー料金よりも安く利用できることが特長です。空港への送迎シャトルなどで提供されているほか、タクシー配車アプリの「GO」も、この冬から一部地域でサービスを開始すると発表しています。 ただ、一部の関係者からは「乗降地点が決まっているため、乗客にとって自由度が低く、ビジネス上のメリットも薄い。どこまで広がるか分からない」と、普及に懐疑的な見方も出ています。 一方で、海外で展開されている「UberX Share」のような「乗り合いサービス」を求める声も挙がっています。「乗り合い」とは、客が一度乗車した後にも、他の乗客が乗ってくるサービスのことで、日本では原則、バス会社にのみ許可されています。「UberX Share」などのサービスでは、乗客は自由に乗降地点を指定することができます。他の乗客をピックアップするために遠回りすることもありますが、その分、料金は安くなります。 ただ、日本では一般のドライバーや他の乗客と同乗する際の安全性を危惧する声も根強くあります。これに対し、Uberは「ドライバーと乗客の相互評価システムや、乗車状況の共有システムなど、乗客の安全対策は取っている」と説明しています。