世界最高レベルの住宅街を舞う大量のインコ
<イギリス都市部では普通にキツネが出没するようになっただけでなく、南国産のパラキート(インコ)が色鮮やかに空を埋め尽くす>
以前、ロンドン郊外トゥイッケナムなどイギリスの都市部でたくさんのキツネが出没するようになったことを書いたが、今回のコラムは基本的にはその「脚注」だ。【コリン・ジョイス(本誌コラムニスト)】 イギリス都市部の至る所に......もはやキツネは田園地帯の動物ではない 突然、それまでとは違う環境で暮らすようになったキツネの数が増えたことで、キツネが新たな習慣を進化させることもあるのではないかと僕は推測したが、これは結構当たっていたのかもしれない。 キツネは夜行性と言われているが、僕はまだ明るい夕暮れの時刻に何度も目にした。イギリスは夏の日が長く、どうやらキツネは完全に暗くなる午後10時くらいを待つことができずに午後9時前から現れだすようだ。 それどころか僕は真昼間に何匹か見掛けた。さらに言えば友人の小さな庭で日中に目撃したこともあったが、これはあり得ないことだ。キツネは本来ならものすごく人間を警戒するはずだから。 そのとき僕はネコの様子が少しおかしいことに気付き、キツネが庭にいるのを見つけて仰天した。ネコはじっと座っていたものの、非常に警戒していた。若いキツネは庭を歩き回り、ネコのえさの匂いをかいでいるようだったが、実際のところ、その姿はキツネというよりライバルのネコのようだった。
■むしろ目に付くのは...... もう1つ、以前のブログを掲載した直後に気付いたのは、僕がトゥイッケナムの住人からしてみれば「それじゃないほうの」話題を書いてしまったということ。キツネは、既に古いニュースなのだ。 普通だったら、この地で目につくのはパラキート(インコ)のほうだ。 パラキートは数多くいるし、群れをなしていて大きな声で鳴くから存在感抜群(まるでわざわざ主張してインパクトを増しているかのよう)。そのうえ鮮やかな緑色で、概して「地味」なイギリスの鳥に比べると本当に場違いに見える。 パラキートの原産はアフリカやインドで、渡り鳥ではないので、おそらくトゥイッケナム地域に生息しているものは逃げ出したペットが繁殖したと思われる。 彼らは数千、数万といるにもかかわらず、トゥイッケナム周辺(キューガーデンも含まれる)やテムズ川周辺の環境抜群の一帯(川幅は広がり緑の土手や「小島」がポツポツ存在する)を超えて広がることはなかったのが興味深い。
このためパラキートは「トゥイッケナム・パラキート」や(近隣の街の)「キングストン・パラキート」などという愛称で呼ばれている。 彼らは今いる場所が気に入っているらしい。そして彼らは、人間と同意見のようだ──そのエリアの不動産は世界屈指の人気ぶりだという点で。
コリン・ジョイス(本誌コラムニスト)