卓球女子団体2大会連続銀メダル 中国に対してはリードしたときにいかに勝ちきるかが肝になる 【福原愛さんの視点】
「パリ五輪・卓球女子団体・決勝、日本0-3中国」(10日、パリ南アリーナ) 日本は中国に0-3で敗れて、2大会連続の銀メダルだった。第1試合のダブルスで早田ひな(日本生命)、張本美和(木下グループ)組が2-3で競り負けた。第2試合のシングルスは平野美宇(木下グループ)が0-3で、第3試合は張本美和が1-3で敗れた。2012年ロンドン五輪団体銀メダリストで、16年リオデジャネイロ五輪銅メダリストの福原愛さんが分析した。 【写真】ひなみわガックリ 第1試合でポイントを奪われて消えた笑顔 ◇ ◇ ダブルスの第5ゲームで、9-5とリードしながら負けたのがもったいなかったです。私も中国の選手と対戦したときにすごく感じたのですが、もう少しで勝つというときになると、よく分からないプレッシャーがかかるんです。負けてはいけない重圧とは違う、独特の緊張感です。最後に勝ちきるのは難しい、といつも思っていました。 早田選手と張本選手が組みましたが、ここぞというときに違うペアになってもいいように、相手にオーダーを読まれないためにも、いろいろな練習をしています。早田選手は思い切って張本選手に攻撃させていましたし、張本選手ものびのびとプレーしていました。 序盤からさまざまなサーブを出して、張本選手も投げ上げをしたりしていました。ダブルスはサーブを変化させることが難しいんです。考えていることがパートナーと一致しなければいけませんし、そうでなければ3球目への準備ができません。勇気がいりますが、中国の選手に勝つために変化は必要です。 平野選手は1ゲーム目を7-1から落としました。中国の選手と戦う上では1ゲーム目を取れるかがポイントになります。ただ、前ならもっとバックで粘っていたところを、回り込んでフォアで攻めたり、サーブの技術もかなり上がっていました。負けを糧にして、もう一段階上に行くはずです。 張本選手はダブルスの競った場面でも、ストレートに積極的にバックで攻めたり、勇気のあるプレーが多いです。伸びしろしかありません。早田選手もいいプレーが目立って、試合に没頭していたように見えました。 中国は1球が速くて、何をするにも先手を打っていました。1球1球の鋭さやコース取りにおいて何ミリという、0・0何秒という世界で戦う中で先端の部分の差ですが、日本は前進しています。中国に対しては、リードしたときにいかに勝ちきるかが肝になります。 今大会、男女ともチームジャパンとして一丸となってプレーしていました。男子に限っては思い出すと心が痛むような試合もありましたが、4年後へのカウントダウンは始まっています。この悔しさを忘れずに練習してほしいです。 パリ五輪を見て感じたのは、私は1大会ずつ現役から遠ざかっている意味でも、どんどん客観的に大会を見られていることです。みんながちょっとやってみようかとか、興味を持ったりとか、応援している方々も注力できて、応援できるのが五輪。選手たちにも感謝の気持ちでいっぱいです。五輪って、やっぱりすばらしいですね。(2012年ロンドン五輪、16年リオデジャネイロ五輪女子団体メダリスト)