【33年ぶり新作】挿絵画家永井郁子が故・寺村輝夫の想いを継いで『わかったさんのスイートポテト』を描くまで
寺村輝夫との出会いで宇宙規模に変わった人生
――今でも励みにしている寺村先生からの言葉はありますか? 永井 ちょっと自慢話になりますけど(笑)、寺村先生に、「僕はあなたと出会ってから、年を重ねるごとに1歳ずつ若返っていくみたい。地球規模で僕の作家人生が変わったよ」と言われたことがあります。ですので私は、「寺村先生と出会ったことで、宇宙規模で人生が変わりました」とお答えしました。 ――ロマンチックですね。 永井 先生はロマンチストですよ。『わかったさんのクレープ』では、シンデレラのように馬車に乗るわかったさんを描いたのですが、その絵を見た先生は、歌うように「ロマンチックゥ~!」ととても喜んでいました。そういうキュートな部分がある方でしたね。 寺村先生とは十数年お仕事をご一緒しましたけど、打合せでは毎回緊張しました。偉大な方でしたから。終わったら緊張のあまり頭痛がするくらいでしたね。「これで駄目だったら、次はお仕事をいただけないかも」という不安があって、常に「これが最後かも」という気持ちで挑み続けました。 永井郁子(ながい・いくこ) 1955年広島県⽣まれ。多摩美術⼤学で油画科を卒業後、アルバイトをしながら絵本作家を⽬指す。1986年に寺村輝夫から童話創作を学んだことを機にコンビを組み、「わかったさんのおかし」シリーズや「かいぞくポケット」シリーズ(ともにあかね書房)などの挿絵を⼿がける。著書に「おしゃれさんの茶道はじめて物語」シリーズ(淡交社)など多数。 永井郁子のホームページ
ゆきどっぐ