【シャネル】【セリーヌ】指先と唇。モードな鎧は、このふたつで完璧だ
ネイルと口紅。直球勝負のストロングカラーで2か所彩っておけば、「この人、何かある」と初対面の相手にも印象を残せると思うんです。ただし、的を絞ったミニマルメイクアップなだけに、色と質感を計算し尽くした逸品を厳選しないと。そこで、シャネルとセリーヌです。 【写真】シャネルのネイル、セリーヌのリップを詳しく見る
黒0.1歩手前の、饒舌な紫黒色
視線を吸い寄せるダークカラー。かの傑作ルージュ ヌワールを生んだシャネルが、今年は紫をぎりぎりまでモードに攻めました。 究極の茄子色。一度塗りだとほのかにパープルが透けて見えるけれど、さらに重ねればレーズンブラックに。味わい深い紫黒色は、ルージュ ヌワールが「血豆色」と表現されるとしたら、「万年筆のインク色」と呼びたいダークカラー。 色名を「ストーリーテラー」と言います。物語を語る人。見事なプロットを綴る作家。語る相手をのめり込ませる話術の達人、という色名にふさわしい、饒舌な色。というのも、この色の中には、無限の色が配合されているから。黒のボールペンがじつは紫や黄色で「黒」という発色を可能にしているように、「ストーリーテラー」は単なる黒ではなくて多彩な、いわば全部の色が入っている。だから深みがあって美しい。 ロックな気骨も、品もある。唯一無二の限定パープルブラックは、フェスティブシーズンの大人の指先にこそかっこよく映える色!
パリジェンヌな究極の赤
新しくメイクアップコレクションをローンチする際、複数のカラープロダクトに連なるラインで販売するのが常。でも、セリーヌの場合、新色は1本。リップブラシと、トラベル用のリップブラシなどのツールはあるけれど、カラーレンジはたった1本の赤口紅なんです。 ファセットカットが施されたケースのデザインは、セリーヌの香水オート パフューマリー コレクションのキャップのフォルムを彷彿とさせます。マグネットを内蔵したキャップは閉じるときのキリリとした「カチッ」という音も、じつにラグジュアリー。 キャップのトップにクチュールモノグラムのトリオンフがエンボスされているだけでなく、リップカラーの側面にも静謐に刻まれていて、美しい。凱旋門の周りを囲む鎖、あのデザインを模したトリオンフが、口紅からもパリのエスプリを伝えているわけですね。 発色は、オークルのアンダートーンを敷いた真紅。パリジェンヌが気負いなくまとう赤を追求したら、きっとこんな色。青みも秘めているので、華やかさも充分で、日焼け止めだけで仕上げたベースに、この1本だけでもおしゃれです。 質感は軽やかでクリーミー。ストレスなくするすると唇を彩るサテンテクスチャーに仕上げました。 この口紅、香りもするんです。ほんのり立ち上るバラと、パウダリーなノート。クラシカルな「王道の口紅」の芳香を演出した背景には、香水のクリエーションと同じく70年代を愛するこだわりを感じます。
太陽王ルイ14世が栄華を極めた17世紀。あの偉大な時代のモールディングデザインをエンボスした、白のボックスに入って届きます。 爪と唇だけに強い色をオン。ミニマルだけれどモードなインパクト充分な、「二点盛り」メイクアップ、おすすめです! 【エディターIGARASHI】