CES開幕、ホンダは次世代車で攻勢…独自OSとAIの融合で自動運転の高度化目指す
【ラスベガス(米ネバダ州)=奈良橋大輔】世界最大級のテクノロジー展示会「CES」が7日、米ラスベガスで始まった。ホンダは、2026年から販売する新たな電気自動車(EV)の試作車を公開した。車の性能を制御する独自の基本ソフト(OS)と人工知能(AI)を組み合わせ、自動運転の高度化を目指す。次世代車の開発で先行する米中の新興勢への巻き返しを急ぐ考えだ。
今回公開した新型EV「0(ゼロ)シリーズ」は、スポーツ用多目的車(SUV)とセダンの2車種だ。北米から販売を始め、日欧への展開も予定する。最安価格は約470万円以下にする考えだ。
搭載する独自OSは「ASIMO(アシモ) OS」と名付けた。22年に引退した人型ロボット「アシモ」で培った認識技術を次世代車の開発で生かす。AIと組み合わせ、特定の条件下で人の監視がいらない自動運転「レベル3」の標準搭載につなげる。
高性能な半導体開発では、半導体大手ルネサスエレクトロニクスとの提携も発表。自動運転に欠かせない高い処理能力と省電力を両立させる。ソフト更新により性能向上などができる次世代車(SDV)では、米アマゾンのクラウド事業を手がけるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と協業し、同社の生成AIを活用することも明らかにした。
ホンダが自動運転やSDVといった次世代車の開発を急ぐのは、米中の新興勢が急速に台頭し、競争が激化しているからだ。米テスラは、カメラとAIで自動運転が可能となる技術開発を加速。高価なセンサーなどが不要となり、競争力が強まる可能性がある。中国勢もこうした分野で、急激に追い上げを見せる。
カギになるのが半導体やソフト開発だ。今回のCESでは、トヨタ自動車が米半導体大手エヌビディアの先端半導体を採用することが明らかになった。自動運転技術の開発を加速させる。
電子情報技術産業協会によると、世界の生産台数に占めるSDVの比率は、25年の約3%から35年には約67%に高まると予測される。