2025ドゥカティ新型パニガーレV2/ストリートファイターV2登場【ミドルクラスの究極ドゥカティ!? 】
パワーよりも軽さと扱いやすさを追求
まずはエンジンからみていこう。水冷90度V型2気筒というレイアウトに変更はないが、排気量は従来型の955ccから65ccも小さい890ccとしている。また、ドゥカティの代名詞的な機構であったデスモドロミック(強制開閉バルブ機構)をやめ、一般的なバルブスプリング式を採用した点も大きな変更だ。 これにより最高出力は155psから120psと35psも減ったが、同時にエンジン単体重量は9kgも軽い54.4kgに仕上がっている。空冷式となるスクランブラーのエンジンと比較しても、約5.8kgも軽い。従来は大排気量エンジンの設計をベースとしていたが、この”V2”エンジンは当初からミドルクラスとして設計され、公道での扱いやすさを念頭に開発された。そのための最優先事項が、必要十分なパワーと軽さだ。 吸気側バルブの作動タイミングを最大52度の範囲で変える可変式とし(IVT)、低回転域でのリニアなトルクと、高回転域での俊敏なスロットルレスポンスを両立した。インテークバルブにはMotoGPマシン同様のDLC(ダイヤモンドライクカーボン)加工を施し、表面の円滑度と硬度を高めている。 IVTにより、新型V2エンジンは3000rpmで最大トルクの70%以上を発生し、3500~11000rpmでは常に最大トルクの80%を維持する。このため全域にわたって扱いやすく、パワフルなエンジン特性を実現した。 シリンダーのバンク角は90度だが、エンジンを後ろへ20度傾けて搭載している。これにより慣性モーメントとエンジンの前後長の増加を抑え、車体の重量配分を最適化。車両のコントロール性を向上させている。 ドゥカティが行った従来型との走行性能比較では、エンジン出力の低下によりストレートでの最高速度は下回るが、それに対してコーナリングスピードが上昇。とくに低速コーナーでのタイム短縮が際立ち、結果として従来型とほぼ同等のラップタイムを刻めるという。 また、新型V2エンジンには『120psバージョン』と『115psバージョン』の2種類が用意される。前者は、5速と6速のレブリミットが11350rpmに設定されるほか、オプションのレーシングエキゾーストを装着した場合は最高出力は126ps、最大トルクは9.99 kg-mまで向上する。 後者の出力値は115ps、9.39kg-mとなるが、より堅牢なコネクティングロッドとフライホイールを装備する。これにより慣性モーメントは12%、エンジン重量も0.51kg増加するが、とくに低回転域におけるパワーバランスの最適化が図られている。また、USB充電ポートなどの電力需要に対応するため、より強力なオルタネーター(発電機)を搭載する。