被災した神戸の酒造会社が当時の酒を限定販売へ 阪神大震災30年
1995年1月の阪神大震災で被災した神戸市の酒蔵が、震災から30年となるのを前に、当時つくった日本酒を本数限定で売り出している。 【写真】沢の鶴が発売する「1995年醸造 生酛(きもと)純米古酒」=2024年12月11日午後2時54分、神戸市中央区、西村宏治撮影 沢の鶴(神戸市灘区)は95年3月に仕込み始めた古酒「1995年醸造 生酛(きもと)純米古酒」を、2025年1月17日に発売する。ウイスキーなどに使われるオーク樽で40日ほど熟成、貯蔵した。1本720ミリリットル入りで税込み10万円。10本限定で、売り上げは全額、日本財団の「災害復興支援特別基金」に寄付する。 震災では木造の7蔵が倒壊。蔵人(くらびと)2人が亡くなった。残った鉄筋造りの蔵でも、タンクが傾くなどの被害が出た。それでも3月には手作業で酒造りを一部再開した。 現在の醸造責任者で、当時入社6年目だった西向賞雄(たかお)さん(59)は「仕事を続けていける希望を見つけながらやっていた酒造りだった。こうやって元気に酒造りしていることを見せるのも、亡くなられた方々の供養になるのでは」と語った。
朝日新聞社