「必要性が見えない…」住民から厳しい意見も 財政悪化した交通安全協会が合併断念し解散へ 地域を見守り54年「苦渋の選択」
長野県の松代交通安全協会(長野市松代町)は、検討していた長野南交通安全協会(同市篠ノ井)との合併を断念した。財政が悪化した松代安協は本年度末で解散する。実質的な活動を続けようと、合併と住民負担を抑えた新たな活動資金の集め方を提案し、住民アンケートをしたが、半数近くが反対。「(安協の)必要性が見えない」と厳しい意見もあり、存続の理解が得られないと判断した。 【グラフ】交通安全協会の入会率
合併して活動続ける想定が…
松代安協は地元の人口減に加え、任意で集めている「協力金」の支払いを断られるケースが多く、収入が減っていた。今年5月に本年度末で解散する方針を決定。長野南安協と合併する形で、活動は続ける想定だった。
住民アンケートで想定外に少なかった賛成
住民アンケートは各区長に依頼し、今年4~7月に実施した。合併の条件として、戸別訪問で任意で1戸当たり1200円を集めている現在の協力金に替え、同300円を区費として徴収することに賛成か反対かを質問。80の字・町ごとに回答を取りまとめた結果、賛成が約56%と、反対・その他(無回答など含む)の約44%を上回ったものの、「想定外」(松代安協)に少なく、9月の役員会で合併せずに解散する方針を決めた。
地域見守り54年「苦渋の選択」
松代安協は1950(昭和25)年に発足。子どもたちを見守る交通安全活動や「松代藩真田十万石まつり」の交通誘導をボランティアで担ってきた。宮沢今朝美会長(72)は「苦渋の選択だが合併を断念せざるを得ない。交通安全をどう守っていくか、地域全体のテーマとして考えてほしい」と話している。