Bluetoothで10cm単位の測距精度 デジタルキーや紛失防止に
Bluetooth SIG(Special Interest Group)は2024年10月29日、新しい高精度測距機能「Bluetooth Channel Sounding」(以下、チャネルサウンディング)についての記者説明会を行った。 Bluetooth搭載デバイス年間出荷位台数の推移と予測[クリックで拡大] 出所:Bluetooth SIG 2024年中にチャネルサウンディングに対応した半導体チップやモジュールが登場し、2025年以降エンドユーザー向け製品に搭載される見込みだ。Android 15にはAPI(Application Programming Interface)を含めて対応予定だという。
Bluetoothデバイスは28年に75億台に
Bluetoothデバイスの出荷台数は年々増加している。ABI Researchによると出荷台数は2024年から2028年まで年間平均成長率(CAGR)8%で成長し、2028年には75億台に達する見込みだという。 これまで、Bluetoothの新機能は継続的にリリースされてきた。2016年以降、LE 2M PHYやLE Coded PHYの登場で高速通信や長距離通信が実現し、2023年にはPAwR(Periodic Advertising with Responses)が導入された。こうした機能向上により、Bluetoothデバイスのユースケースは紛失防止やデジタルキー、電子棚札などへ拡大してきた。
10cm単位の測距精度、セキュリティ対策も
そして2024年9月に新しく発表されたのが高精度測距機能のチャネルサウンディングだ。位相ベース測距(PBR:Phase-Based Ranging)に基づき、10cm単位の測距精度を実現する。 ワイヤレスネットワークへの攻撃を想定した多層セキュリティ対策を備えていて、紛失防止やデジタルキーに利用できる。製造現場で危険の生じうる設備を扱う際、作業者と一定以上の距離が空いている場合にのみ設備を作動させるといった使い方も可能だ。 Bluetooth SIGメンバー企業がスマートフォンの試作機を用いて行った性能試験によると、最大100mの距離で±20cm、5mでは±10cmの精度が確認できたという。1mの距離では誤差はゼロだった。これは規格確定前の試験結果であるため、Bluetooth SIGは今後より高精度になっていくことが期待できるとしている。
今後も機能強化を予定
今後もBluetoothの新機能が多数実装を控えている。2025年にはヒューマンインタフェースデバイス向け超低遅延技術を公開予定だ。それ以降にはワイヤレスオーディオの性能向上や高周波数帯域対応も計画しているという。
EE Times Japan