ユニクロも導入する「倉庫自動化ロボ」の仏ユニコーン・EXOTEC日本トップに聞く…システム販売が世界10億ドル超
2015年にフランスで創業したユニコーン企業EXOTEC(エグゾテック)が、日本でも存在感を増している。同社が提供するのは、倉庫自動化ソリューション「Skypod(スカイポッド)システム」で、独自設計のロボット・ラック・ピッキングステーションを組み合わせて、倉庫作業を効率化する。 【全画像をみる】ユニクロも導入する「倉庫自動化ロボ」の仏ユニコーン・EXOTEC日本トップに聞く…システム販売が世界10億ドル超 3月に日本初開催された「スマートマニュファクチャリングサミット」に出展し、同じく3月には全世界のSkypodシステムの売り上げが10億ドル(約1539億円)超えたことも公表した。 EXOTECは2019年にユニクロを展開するファーストリテイリングと戦略的グローバルパートナーシップを締結したのを皮切りに日本進出した。その後、ヨドバシカメラや、3COINS(スリーコインズ)などの日用雑貨やアパレルを手がけるパルグループHDなど、大手企業を中心にクライアントを増やしている。 EXOTEC Nihon社長の立脇竜氏に、Skypodシステムの強みと国内でのビジネス戦略を取材した。
ユニクロやヨドバシも導入。アパレルや小売、製造業で活躍
EXOTECは、医療用ロボットの開発に携わっていた2人のフランス人起業家により、2015年に創立された。2017年以降、アパレルや小売、製造業などの企業に続々と採用され、今では全世界の100以上の倉庫で導入されているという。 日本とのつながりはファーストリテイリングとの取引から始まった。欧州の展示会で出会い、欧州のユニクロ倉庫でテスト的に稼働させた後、2019年に戦略的グローバルパートナーシップを締結している。 「ファーストリテイリングは物流を含むサプライチェーンへの意識が非常に高く、そこが売り上げを作り出す源泉だというぐらい重要視しています。当社のシステム導入以前は柔軟性を優先してマニュアル作業をされていましたが、DX化を推し進めようというタイミングで協業にいたりました」(EXOTEC Nihon立脇社長) ファーストリテイリングは2010年代後半、EXOTECの同業界との連携を深めていた。2018年10月に、世界No.1のマテリアルハンドリング企業(※)のダイフクと、続く2019年11月には、知能ロボットを中核とした統合プラットフォームを提供する「MUJIN(ムジン)ともグローバルパートナーシップを結んだ。EXOTECとの提携も、この時期にあたる。 ※米専門誌国『Modern Materials Handling』が、毎年実施する世界のマテリアルハンドリング企業を対象とした売上高ランキング 調査で、ダイフクは2022年度連結売上高が45億4900万ドル(約7022億円)で世界一になった。2015年以降、9年連続の売上高世界一だ。 ユニクロの広報担当者によると、自動化が有効的に働くと判断した国・地域の倉庫で順次、自動化を進めていると言う。EXOTECを含む倉庫自動化ソリューションの導入による具体的な改善成果は非公表だが、繁閑の差なく安定して同量の商品を運べるため、繁忙期の売り逃しを避けられるなどの成果が得られているとする。 そのほかSkypodシステムは、三井不動産、ヨドバシカメラ、アルプス物流、パルグループホールディングスなどでも採用されている。 eコマースに注力するヨドバシカメラでは、倉庫に同システムを導入した。850万点の商品を扱う同社がより早く、より多くの顧客に商品を届けるための最適解であると判断したという。 三井不動産では三井ショッピングパーク公式通販サイト「&mall(アンドモール)」の物流拠点に導入、最大出荷キャパが2倍以上、人件費が約2割削減(2023年3月実績)の効果が出ているという。