草彅剛、三谷幸喜のほかにも……香取慎吾が最も影響を受けたのは“あの名優”だった!
――過去にはお二人で舞台もやられていましたが、演技について話し合ったりされるんですか? 香取 時々、しますよ。と言っても、話題は主に“気持ちよさ”についてですけど。「あれ、観たよ。あのシーンは気持ち良かったでしょ?」「うん、あれは気持よかったね」みたいな。例えば大きく声を張り上げて叫ぶシーンとか、普段の生活ではまず無い経験だから胸がスーッとするというか、ちょっとした気持ちよさがあるんですよ。グッと涙するシーンもそう。そういうのを共感し合うような会話はします。
名優から学んだ現場での立ち振舞い
――例えば、過去にドラマで共演されたかたから言われた、今も記憶に残っている言葉、教訓になっているような言葉などはありますか? 香取 うーん……ああ、言葉じゃないんですけど、ありますね。僕は田中邦衛さんと何度かご一緒させていただいたんですが……。 邦衛さんはいつも冗談みたいに僕のことをずっと“兄貴”と呼んでくださって。例えば、撮影が深夜遅くまで押したときの疲れを、「今日、疲れたね」と暗く重たく言うのではなく、「今日疲れたなあー。じゃあ、明日みんな休み?」と、ちょっと笑える一言で表現されるんですよ。 その日の撮影が終わったときも、ロケバスや楽屋に戻る途中、「おおー終わったぞー。おらー!」とか言って歩きながら衣装を脱いで、ぽんぽんと道端に放り投げていっちゃうんですよ(笑)。それを僕や衣装さんやADさんで、「ちょっと邦さーん何やってんすか、ダメですよー!?」って衣装を拾いながら後を追っていって。 邦さんだってどう考えても疲れているはずなのに、明るくみんなを笑わせて、最後はわーっと楽しく現場を終えようとする。いつも朗らかで緊張感を感じさせない、本当に素敵な立ち振舞いでしたね。 ――演技論云々よりも、現場にどう居るか、現場でどう人と接するかのほうが、香取さんのなかでは大きい? 香取 そうですね……邦さんにはかなり大きな影響を受けていたんだと思います。いま初めて気付いたかもしれない。