Jリーグ開幕から20年を経て泥沼に陥った混迷時代。ビジネスマン村井満が必要とされた理由
まるで時代に逆行するかのように2ステージ制が復活
ちょうどこの頃、Jリーグの成長戦略を検討する「Jリーグ戦略会議」が、Jリーグのチェアマンと理事、JFA(日本サッカー協会)やJクラブの代表者を招集して定期的に行われていた。 その中で、協賛金などの減少により「このままでは2014年から、Jリーグは13億円減収する」という、衝撃的な報告が上がってくる。これが「2ステージ制」と呼ばれる、2ステージ+ポストシーズン制導入に向けた議論に拍車をかけることとなった。 「僕自身、2ステージ制という判断が、必ずしも正しいとは思わなかったし、ファン・サポーターの皆さんからも、さまざまなご意見をいただきました。けれども、お客さんを集めるためには、ファースト、セカンド、年間という3つの山(=優勝決定)を作るべきではないかと。ただし5年も10年も続けるという話でもなく、まずは3年くらいやってみようという感じでしたね」 当時のチェアマン、大東の回想である。 2ステージ+ポストシーズン制とは、年間勝ち点最多クラブが優勝するのではなく、ファーストステージとセカンドステージの優勝クラブ、そして年間勝ち点2位・3位にも優勝のチャンスがあるシステムである。 かつてJリーグでは、ファーストおよびセカンドステージの優勝クラブが年間優勝を決める、Jリーグチャンピオンシップ(CS)を開催していた時代があった。1997年からは、両ステージの優勝クラブが同一の場合、CSを行わないことを決定。2002年はジュビロ磐田が、03年には横浜F・マリノスが、それぞれ完全優勝した経緯もあり、04年を最後に廃止されていた。 ところが廃止から11年後の2015年、まるで時代に逆行するかのように2ステージ制は復活する。その一番の目的は、地上波での放送による増収であった。 NHKとTBSでもタイトルが懸かった試合が放送されれば、広告価値も上昇。ステークホルダーをつなぎとめる説得材料にもなり、毎年10億円ほどの増収が見込めることが明らかになった。